「米は食べる」だけじゃない! 稲をフル活用する日本人の知恵とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 米の話】


米だけじゃない稲のフル活用法
稲の全部を暮らしに生かす知恵
稲は、ただ米をとるための植物ではありません。昔の人々は、ぬかやもみ殻、わらにいたるまで稲を余すことなく使い、暮らしに役立ててきました。その工夫の数々には、自然とともに生きてきた知恵が息づいています。
たとえば、「ご飯粒のり」。炊いた米をつぶして煮ると、粘りのある天然のりになります。障子の張り替えや工作などに使われてきた、昔ながらの接着剤です。
「米ぬか」も、生活の道具として長く重宝されてきました。布に包んで湯ぶねに浮かべれば、「ぬか袋」として肌をなめらかにする洗浄用アイテムになります。石けんや洗顔料がなかった時代、人々はぬかで体を洗っていたのです。
さらに、「もみ殻」にも活用の歴史があります。もみ殻を燃やしてできる灰は、アルカリ性の性質を持っているため、洗濯や掃除に使われる灰洗剤「もみ灰」として使われてきました。また、もみ殻は断熱材やふとんの中身としての利用もあります。
そして忘れてはならないのが「わら」。稲刈り後に残るこの素材は、しめ縄、米俵、ぞうり、わらじ、鍋敷き、わら人形など、道具や飾りとして各地で活用されてきました。しなやかで強く、加工がしやすいため、日用品や工芸に最適だったのです。
稲のすべてを暮らしに活かす知恵
昔の人は、稲のすべてをムダにせず、暮らしに取り入れてきました。「食べる」だけでない稲作の知恵が、今も静かに生き続けています。

米(白米・ご飯)
用途:【ご飯粒のり】
炊いた米をつぶして煮ると、障子の張り替えや工作に使える天然のりになります。

米ぬか(精米時に出る外皮)
用途:【ぬか袋(洗顔・洗身)】
布に包んで湯につければ、肌をなめらかにする洗浄用アイテムとして使えます。

もみ殻(玄米をおおう)
用途:【もみ灰(洗浄)・断熱材】
もみ殻を燃やしてできる灰は、洗濯や掃除に使える自然素材の洗剤になります。

わら(稲の茎部分)
用途:【米俵・しめ縄・わらぞうり・鍋敷きなど】
強くてしなやかな素材で、生活道具や飾りとして幅広く使われてきました。

稲を活用! 持続可能な社会を支える素材

米由来のプラスチック素材(バイオプラスチック)

稲わら入りの紙製品・包装材

廃米を使った循環型肥料や飼料
持続可能な社会が目指される現在、食べきれなかった米や未利用資源を、新たな製品の素材として再活用する取り組みが進んでいます。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 米の話』著:トキオ・ナレッジ
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 米の話』
著:トキオ・ナレッジ
スーパーなどでの米不足、転売、価格高騰などで、ニュースやワイドショーでここ最近毎日のように取り上げられる今いちばんのホットトピック「米」。
備蓄米の放出により、古米がスーパーやコンビニで置かれるようになりましたが、味や品質、衛生面、値段、美味しく食べる方法など、普段何気なく食べていた米について興味をもって調べる人が増えてきました。
また、近年糖質制限という逆風もある一方で、健康志向や和食ブームの高まりにより「米」の再評価も進んでいます。
本書は、私たちの食卓に欠かせない「お米」にまつわる知識・文化・歴史・雑学などを、図解を交えてわかりやすく、楽しく紹介する教養本です。
「“令和の米騒動”はひとつの原因では語れない」
「年々減少する米の消費量 それでも起こる米不足」
「備蓄米ってなに? 米に消費期限はないの?」
「外国米が日本市場になかなか入れない理由」
「炊飯器に放置された保温状態の米の消費期限は?」
「白米より栄養価アップ!今人気の分づき米とは」などなど
読めば誰かに話したくなる米知識が詰まった一冊です。
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