人の思考システムは2つある!? 我々はどう考えて行動を起こすのか【眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス】


2つの思考を駆使して生きている
人間の思考には、直感的や無意識的に判断する思考と、じっくり検討して論理的に答えを導き出す思考の2種類があります。このことは、ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーの2人の心理学者が提唱し、世の中に広まりました。それまで、伝統的な経済学では「人間は合理的に考えて行動する」と考えられてきましたが、目先の得にとらわれたり、損失をことさらに嫌ったりと、うまく説明できない現象もいろいろありました。彼らはこうした行動を心理学の観点から説明し、行動経済学の基礎を築
きました。このとき、人間の思考が2種類あるという考え方が示されたのです。
この2つの思考は、「システム1」と「システム2」と呼ばれます。システム1は直感的や無意識的に判断する思考で、脳に負担をかけずに素早い判断ができますが、認知バイアスを生む原因にもなります。一方、システム2は論理的に答えを導き出す思考で、脳に負担をかけて時間も要しますが、現実をより正確に認識して合理的な判断ができます。我々は、この2つの思考を使い分け、ときには同時に使って、情報を処理しているのです。普段は基本的にシステム1を使って生活していますが、深い検討や注意力が必要になったときにはシステム2を使い、物事の対処にあたっています。
直感的なシステム1と論理的なシステム2
システム1
- 直感的
- 無意識的
- 思考に負荷をかけない
- 情報を瞬時に処理
→【認知バイアスが起きやすい】
例)
- 先入観で物事を判断する
- とっさに対応する
- なんとなく思いつきで決める
システム2
- 論理的
- 意識的
- 思考に負荷がかかる
- 情報の処理に時間がかかる
→【認知バイアスが起きにくい】
例)
- よく検討してから行動する
- 1つのことに集中する
- 知識や記憶を活用する

【2つのシステムを使い分け、ときには同時に使って情報を処理している】
参考文献
- Tversky,A.;Kahneman,D.”Judgment under uncertainty: Heuristics and biases”.Science 185 (4157):1124?1131,1974.
- ケン・マンクテロウ(服部雅史・山祐嗣訳)『思考と推論:理性・判断・意思決定の心理学』北大路書房、2015年。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』監修:高橋 昌一郎
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』
監修:高橋 昌一郎
「認知バイアス」は物事の判断が、偏見や先入観、歪んだ情報・データ、個人的経験則・記憶、思い込みなどによって、非合理的になる心理現象。社会学(社会心理学)や経済学(経済行動学)、論理学、認知科学など幅広いジャンルで研究されている。
本書では、数ある「認知バイアス」から、「確証バイアス」「正常性バイアス」「同調性バイアス」「希少性バイアス」をはじめ「ハロー効果」「ダニング=クルーガー効果」「プロスペクト理論」「スリーパー効果」など、読者の関心や興味が強いと考えられるもの、身近で陥りやすい危険の高いもの、知っていると生活にも役立つものを中心に厳選して、図解でわかりやすく伝える。
フェイクニュースや詐欺的行為や犯罪が蔓延し、AI技術の向上などによって、「何が正しいか」わかりにくくなった現代の世の中で、賢く生きていくためには必須の知識!
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