航空界では”マッハ”と呼ばない!? マッハの不思議な世界【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


マッハの不思議な世界
飛行機には「音の壁」がある
音速と飛行機の速度との関係を表す単位に、マッハ数があります。 オーストリア人の物理学者マッハに因んでつけられたものですが、飛行機速度と音速との比を表すものとして、下図にあるような式になります。
一般的に頭文字のMを使い、たとえばM0.82などと表現しています。ただし「比」なので、マッハ数には単位はありません。
余談ですが、航空界ではマッハではなくマック・ハチニー、またはマック・エイトツーな呼んでいます。なぜ英語読みの「マック」と呼ぶかというと、この呼び名のほうが無線交信では聞き取りやすいためです。
さて、飛行機が速い速度で飛ぶことにより進む方向の空気が圧縮され、さらに前方へとその圧縮された空気が波となって伝わっていきます。その伝わる速さは、音が空気の中を伝わる速度つまり音速と同じでした。飛行速度がその波の速さよりも遅い場合には図2、波とちょうど同じ速さになると図3、波よりも速く飛ぶと図4のようになります。
この図から、ちょうど波の速さになると圧縮された空気の波の束ができますが、これが衝撃波です。そして波の速さ(つまり音速)を境にして、空気の流れ方が大きく違うことがわかります。このように音速を境にして、衝撃 波が発生したり、空気の流れ方が違ってしまったりするため、飛行機が高速になると音速を基準にしたマッハ数、Mを採用しているのです。
飛行機にとって、このような「音の壁」があるため、現在のジェット旅客機はマッハ0.8 前後で飛行しています。
マッハの不思議な世界

波が伝わる速さと飛行機の速さ
水面で実験してみると
①静かな水面に水滴を垂らすと波紋が広がっていきます
②ゆっくりと動かしながら垂らす
③波紋が広がる速さと同じ速さで動かしながら垂らす
④波紋よりも速く動かしながら垂らす
音速を超えると
ジェット・エンジンのガス排気口が絞ってあるのに対して、ロケット・エンジンのガス排出口が広がっているのは、音速を超えて噴出しているからです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。