飛行機が真っすぐ飛んでいるかは「電車のつり革」が教えてくれる!?【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

飛行機の姿勢と方向を知る慣性航法(その1)

電車のつり革から考える「飛行機の姿勢」

飛行機の姿勢と方向を知るには、VGとDGの2つのジャイロが必要なことがわかりました。しかし現在のジェット旅客機は、それぞれの計器に個々のジャイロを使用する方法ではありません。姿勢、方向のみならず位置もまとめて処理するシステムになっています。

自動車のカーナビゲーションの発展はめざましいものがありますが、航空界でも同様です。ナビゲーション、つまり航法(飛行機や船を安全、確実、効率的に目的地まで到達するための技術)の発展が大きく、その口火を切ったのが月に行ったアポロ宇宙船も採用した慣性航法システム(INS)の考え方でしょう。

慣性航法とは何かということを解説するために、外が見えない電車の中のつり革を例にして考えてみましょう。

電車が動き出すと、つり革はいつまでもじっとしたいという慣性の力によって、進む方向とは逆の方向に傾きます。一定の速度になるともとの位置に戻って、減速すれば逆に進行方向に傾きます。

このようにつり革の傾き具合を正確に測定すれば、加速度がわかります。そして、その加速度を積分すると速度がわかります。簡単に言えば傾いている時間がわかれば、

加速度 × 時間 = 速度

から速度がわかります。そして速度がわかれば、

速度 × 時間 = 距離

で、から移動した距離もわかります。

以上から、外が見えなくてもつり革だけ観察していれば、電車の動きがわかることになります。そしてこのような慣性という考え方を利用することから、慣性航法と呼んでいます。

慣性航法とは(その1)

慣性航法の考え方

傾いても加速度を感知してしまうために、水平な板(プラットフォーム)の上に置いてあります。そして、真北を知るためには、1時間15°の速度で地球が自転することおよびジャイロの性質を利用しています。

出発点の位置と加速度さえわかれば、
速度 = 加速度 × 時間
そして
距離 = 速度 × 時間
なので、どこに行っても現在位置がわかります。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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