飛行機はなぜ勝手に飛べるのか? オートパイロットのしくみとは【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


オートパイロット(自動運転)とは
ロボットではなく、システムによる自動化
オートパイロットの歴史は古く、ライト兄弟の初飛行から数年後の1910年代からすでに開発が始まっています。当時の役目は、安定した水平飛行、操縦桿ではなくノブを回すことによる旋回などでした。
基本的な働きは、傾きなどを感じる人間の三半規管の代わりにジャイロ、視神経などの代わりに電気信号、手足の代わりにサーボモーターでアクチュエータを動かし、ラダーやエルロン、エレベーターなどを操作します。オートパイロットといっても、ロボットが操縦するわけではありません。
現在はコンピュータの発達により、操縦系統の自動化よりも、飛行機の運航全般を管理する考え方になっています。ダッチロールを防ぐための安定性の機能や、ノブを回して操縦をする機能は、昔と基本的には変わりません。しかし、大きな違いのひとつに誘導する機能が追加されたことがあります。誘導機能とは、飛行ルート(飛行機の決められた通路)上を、オートパイロットで自動的に飛行できる機能です。
例えば、洋上の飛行ルートを飛行する場合、昔は星の位置から自分の位置を割り出していました(天測航法といいます)。その後、ロランやオメガと呼ばれる、洋上でも受信できる電波により、位置を把握することができるようになりました。
しかし、どちらにしてもパイロットが風などを考慮し、次の飛行ルートへ向かう方位を推測、方向をコントロールするノブを操作して飛行することには変わりはありませんでした。慣性航法装置が開発され、オートパイロットで自動的に飛行できる誘導機能が追加され、パイロットのワークロードが大幅に軽減されたのです。
オートパイロット

・高度維持
・ノブでピッチとバンクのコントロール
・計器着陸装置により自動誘導

・高度および速度の維持
・ノブでピッチとバンクのコントロール
・ルート上を自動誘導
・計器着陸装置により自動誘導および自動着陸
・エンジン推力制御および3次元航法

・高度および速度の維持
・ノブでピッチとバンクのコントロール
・ルート上を自動誘導
・計器着陸装置により自動誘導および自動着陸
・エンジン推力制御および3次元航法
※ボーイング747と777の機能の違いはほとんどありません。しかし、777はデジタル化されているので精度が向上しています。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。
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