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「難しいかな?」で自尊心を刺激【相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学】

Text:渋谷昌三

「難しいかな?」で自尊心を刺激

「できると思ったけど……」で火をつける

仕事のノルマを与えてもなかなか作業にとりかかろうとしない部下。入社当初は「やります!がんばります!」と前向きだったのに、いつの間にかモチベーションが下がってしまった新入社員。そんな人たちに向かって、働け!さぼるな!とあおったところで思い通りにはいかないもの。プレッシャーをかけ過ぎるとパワハラだといわれてしまい、人を使うということに頭を悩ませる時代です。

人は命令されたり、強制されたりすると反発したくなるという心理が働きます。さらに、上司からの指示が自分のやりたいことと違っていたり、手間がかかるからやりたくないと思っていたりすると、なおさら仕事が滞ってしまいます。

そんな時に、人を動かすうまい方法があります。それは、相手の自尊心を刺激することです。自尊心とは、自分は価値のある人間だと自分で認める気持ちです。自尊心の高い人はどんなことに対してもモチベーションが高く、自尊心が低い人は気力もエネルギーも低いといわれています。自尊心を刺激する方法は、例えば、仕事にとりかかろうとしない社員に対して「あれ?キミならできると思ったけど難しいかな?」と問いかけてみるのです。すると社員の心に火がつき、「自分の能力はそんなに低くない!やってやる!」と闘志を燃やすようになるというわけです。この方法は、自尊心が高い人であればあるほど効果を発揮します。自分に自信がない、何をやってもダメだと思い込んでいる人には「やっぱり上司に信用されていないんだ……」と逆効果になってしまうので、相手の性格の見極めが大切です。

セールストークの裏ワザにも活用

この方法は、セールスの仕事などでも活用できます。家具の販売を例に考えてみましょう。インテリアショップで、センスのよさそうな客がデザイン性の高い高級ソファの前で悩んでいたとします。店員としては、「革の手触りが最高です」「お手入れも簡単ですよ」などとソファの魅力をアピールしたいところですが、ここではあえて、客の自尊心を刺激するようなセールストークをするのです。まず、「このソファはかっこよすぎて普通の部屋には似合わないんですよね」と挑発し、その後に「でも、このソファを気に入られたお客様は、いいものを見抜く目をお持ちなんだと思います」と語りかけます。すると、センスに自信があって自尊心が高い客は、「それならこのソファを買っておしゃれな部屋にしてやろうじゃないか」という気持ちになり、購入を決めるというわけです。「あなたなら買えると思ったけど、買えないんですね?」という雰囲気をかもし出して自尊心を刺激し、購入に導くというちょっとあざといワザですが、効果はあるのでお試しを。

自尊心が高いほどモチベーションが上がる

プライドの高い人はこう対処しよう

原則否定しないことがポイント。時々、相づちを打って長話は避けよう。

他人と比較するような発言は、プライドを傷つけて敵視されてしまう。

やる気のない子どもにはほめて自尊心を刺激。自分から進んで行動する子になる。

【出典】『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』著:渋谷昌三

【書誌情報】
『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』
著:渋谷昌三


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