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黄泉の国めぐり③/イザナキノミコトが巨大な岩を坂道に引き据え、イザナミノミコトと対峙したと言われる場所とは?【古事記】

Text:吉田敦彦

現世と黄泉の国の境に当たる場所はいまの出雲の国の伊賦夜坂

軍勢は退けましたが、最後にイザナミノミコトが自ら追いかけてきました。イザナキノミコトは、千人がかりでようやく動かせる巨大な岩を坂道に引き据え、岩を挟んでイザナミノミコトと対峙しました。

「愛しい夫よ。あなたがこのようなひどい仕打ちをするのなら、私は一日に1000人を絞め殺しましょう」

恐ろしい言葉を口にするイザナミノミコトに対し、イザナキノミコトがいいました。

「愛しい妻よ。そなたがそうするというのなら、私は1日に必ず1500の産屋を建てることにしましょう」

かくして*現世では1日に必ず1000人が死に、1500人が生まれるようになりました。

この場所は、いまの出雲の国の伊賦夜坂(いふやさか)のことだといわれています。

*この出来事が人間の「生と死」の起源とされている。

現世と黄泉の国の境に当たる場所『眠れなくなるほど面白い 図解 古事記』

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古事記』
監修:吉田敦彦  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1934年、東京都生まれ。東京大学大学院西洋古典学専攻課程修了。フランス国立科学研究所研究員、成蹊大学文学部教授、学習院大学文学部日本語日本文学科教授を経て、同大学名誉教授。専門は、日本神話とギリシャ神話を中心とした神話の比較研究。主な著書は、『日本神話の源流』(講談社)、『日本の神話』『日本人の女神信仰』(以上、青土社)、『ギリシャ文化の深層』(国文社)など多数。


古典として時代を超え読み継がれている『古事記』。「八岐大蛇」、「因幡の白兎」など誰もが聞いたことがある物語への興味から、また、「国生み」「天孫降臨」「ヤマトタケルの遠征」など、壮大なスケールで繰り広げられると神々の物語の魅力から、最近では若い層にも人気が広まっている。本書は神話・物語を厳選して収録し、豊富な図と魅力的なイラストで名場面や人物像を詳解した、『古事記』の魅力を凝縮した一冊!

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