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グロッソプテリス【古生物の話】

Text:大橋智之

大陸移動説を証明する証拠になった裸子植物

グロッソプテリスは古生代ペルム紀(約2億9900万年前から約2億5200万年前)に、南半球各地に広がっていた裸子植物(らししょくぶつ)の仲間です。裸子植物とは、種になる部分「胚珠(はいしゅ)」がむき出しになっている種子植物のことです。

グロッソプテリスの化石は現在のオーストラリア、南極、アフリカ、南アメリカ、インドなどから発見されています。この地域は、古生代から中生代前半にかけて南半球に広がっていたと考えられる、ゴンドワナ大陸にあたります。

その分布は、有力な根拠として、ウェゲナーの大陸移動説で注目を浴びました。

グロッソプテリスのグロッソには「舌のような」という意味があり、葉が靴べらのような形をしており、網目状の葉脈があるところから、この名前がつきました。

石炭紀の次のペルム紀になると、地球全体が寒くなり乾燥化が進みました。ロボクやフウインボクといった石炭紀特有の巨大なシダ植物は急速に衰え、その多くは絶滅していきました。

グロッソプテリスの仲間は氷河期が終わり、乾燥していたペルム紀の南半球の湿地帯で分布を広げ、かなり繁栄したようですが、ペルム紀末の大量絶滅の際に絶滅したと考えられています。

現在の種子植物の大半を占める被子植物は、種になる胚珠の部分が子房に包まれ隠れています。グロッソプテリスは葉の表面に胚珠をもっていました。この葉が胚珠を包めば、被子植物(ひししょくぶつ)のように見えます。

こうした推察から、グロッソプテリスの仲間が進化して、白亜紀初期に誕生する被子植物が生まれたのではないかという説もあります。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』
著者:大橋智之  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
大橋智之(おおはし・ともゆき) 北九州市立自然史・歴史博物館 学芸員。古脊椎動物担当。1976年、福島県生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。日本古生物学会会員。


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