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エゼキエルの幻視【聖書】

Text:渋谷伸博

バビロン捕囚を経験した預言者

三大預言者の1人エゼキエルもまた、エルサレム陥落の目撃者でした。しかも、彼はバビロン捕囚を身をもって経験することになったのです。

エゼキエルが神より召命を受けたのは、その捕囚先であるケバル川畔の*テル・アビブでのことでした。

現れた神は不思議な4頭の動物の上で光り輝いていました。エゼキエルが驚いて見つめていると、神は表も裏も文字が書かれた巻物を取り出し、彼に食べさせました。

こうしてエゼキエルは預言者となりました。ちなみに、「むさぼり読む」という表現(英語ではdevour)は、エゼキエルのこの逸話に由来するといいます。

エゼキエルは当初、バビロン捕囚に至ったイスラエル(エルサレム)の罪をきびしく責める言葉を告げていましたが、やがてそれはイスラエルの復活を告げるものへと変わっていきました。 

神はエゼキエルに骸骨(がいこつ)に肉がついて命が吹き込まれる様子を幻視させ、エルサレムもこのようによみがえるのだと教えています。

神は言います。

「わたしはお前たちを自分の土地に住まわせる」なお、バビロンに連れてこられたユダヤの民たちは、コミュニティを作ることは許されており、従来の信仰を保つことも認められていました。

 

彼らは居住地にシナゴーグ(教会)を建て、モーセが定めたとされる律法に基づいて信仰生活を送っていました。

この結果、民族のアイデンティティーを失わずにすみ、信仰も独自の発展を遂げることができたといわれます。

用語解説 *テル・アビブ イスラエルにある同名の都市は、エゼキエル書に出るこの地名にちなんで名づけられた。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 聖書』
著者:渋谷伸博  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。宗教史研究家。よみうりカルチャーなどで神話をテーマとした講座も開講している。著書多数。近著に『一生に一度は参拝したい全国の神社めぐり』『聖地鉄道めぐり』『神々だけに許された地 秘境神社めぐり』『歴史さんぽ東京の神社・お寺めぐり』(いずれもジー・ビー)、『あなたの知らない般若心経』(宮坂宥洪監修、洋泉社新書)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)などがある。


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