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ダニエルの謎解き〜後半〜【聖書】

Text:渋谷伸博

後半はダニエルがみたさまざまな*幻のことが述べられています。たとえば、このようなものです。

川岸に長い2本の角をもつ雄羊(おひつじ)が立っていました。この雄羊は西、北、南へ突進しましたが、立ち向かうことができる獣(けもの)がいなかったので、わが物顔で振る舞っていました。

すると、西のほうから際立った角をもった雄山羊(おやぎ)がやって来ました。雄山羊は激しい怒りをもって雄羊に突進し、その角をへし折ると、地に投げ打ち踏みにじりました。

その雄山羊は非常に強かったのですが、最も強くなった時に角が折れ、代わりに4本の角が生えてきて天の四方に向かって伸びました。

この夢については、大天使のガブリエルが解説をしています。

それによると、2本の角がある雄羊はメディアとペルシャの王、雄山羊はギリシアの王のことです。その角が折れて4本の角が生えてくるのは、王が死んで4つの王国が生まれることを示しています。この雄山羊はアレクサンダー大王の帝国とその後継者たちを表しているのでしょう。

ダニエル書はそれまでの旧約聖書の文書には見られない特徴があります。最後の審判・死者の復活・永遠の生命といった終末論的な内容です。

これらは新約聖書の時代を迎える準備が整いつつあったことを示しているといえるでしょう。民衆の間にも救世主を求める意識が次第に醸成されていったのです。

用語解説 *幻 幻は神がダニエルにもたらした預言だが、非常に難解で、ダニエルさえも解釈に困るほどだった。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 聖書』
著者:渋谷伸博  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒。宗教史研究家。よみうりカルチャーなどで神話をテーマとした講座も開講している。著書多数。近著に『一生に一度は参拝したい全国の神社めぐり』『聖地鉄道めぐり』『神々だけに許された地 秘境神社めぐり』『歴史さんぽ東京の神社・お寺めぐり』(いずれもジー・ビー)、『あなたの知らない般若心経』(宮坂宥洪監修、洋泉社新書)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)などがある。


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