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11.オリエント世界をはじめて統一した専制帝国【世界史】

Text:鈴木 旭

「鉄と戦車」で全オリエントを制覇し、初の世界帝国を実現した。

チグリス=ユーフラテス両河川に挟まれたメソポタミア北半部を紀元前2,000年紀から概ね占めていたのがアッシリアである。アッシュール神を最高神として仰ぐセム系部族が興した。

興亡変転目まぐるしいオリエントの地ではめずらしく、発祥以来、1,400年以上続いたアッシリアは「一統百十七代」も続く『王名表』が残されているのも稀有なこと。オリエントのほぼ中央に位置する地の利を生かし、周辺諸国との商業活動によって富を蓄えたのである。

初めミタンニの支配下にあったが、その影響下から脱却したのを手始めにバビロニアと戦い、ヒッタイトと戦って勝利し、オリエント世界を完全制覇し、確固たる地歩を築いた。バビロニアでは洗練された文化を吸収し、アッシリアでは鉱物資源と製鉄技術を手に入れた。

アッシリアの王たちは、積極果敢に遠征し「鉄と戦車」で連戦連勝、領土を拡大した。そして、発展維持のために最も重要視したのが大量捕囚政策、つまり、被征服民の強制移住であった。オリエント世界ではめずらしいことではなかったが、アッシリアの強制移住策には特徴があった。

強圧的な武力行使に訴えるのではなく、被征服民の文化や言語、宗教や政治体制に関する情報を集め、分析し、適確に飴(あめ)とむちを使い分けたのである。長期に渡る世界帝国統治の手法が完全に確立されていたと言ってよい。このノウハウは後に続く新バビロニアやアケメネス朝ペルシアにも継承されて行く。

従って、世に言われているように単純に「鉄と戦車」で世界帝国を建設し、統治したわけではないことを強調しておきたい。

 

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界史』
著:鈴木 旭 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
昭和22年6月、山形県天童市に生を受ける。法政大学第一文学部中退。地理学、史学専攻。高校が電子工業高校だったためか、理工系的発想で史学を論じる。手始めに佐治芳彦氏と共に「超古代文化論」で縄文文化論を再構成し、独自のピラミッド研究から環太平洋学会に所属して黒又山(秋田県)の総合調査を実施する。以後、環太平洋諸国諸地域を踏査。G・ハンコック氏と共に与那国島(沖縄県)の海底遺跡調査。新発見で話題となる。本業の歴史ノンフイクション作家として、「歴史群像」(学研)創刊に携わって以来、「歴史読本」(新人物往来社)、「歴史街道」(PHP)、「歴史法廷」(世界文化社)、「歴史eye」(日本文芸社)で精力的に執筆、活躍し、『うつけ信長』で「第1回歴史群像大賞」を受賞。「面白いほどよくわかる」シリーズ『日本史』『世界史』『戦国史』『古代日本史』はロングセラーとなる(すべて日本文芸社)。他に『明治維新とは何だったのか?』(日本時事評論社)、『本間光丘』(ダイヤモンド社)など著書多数。歴史コメンテーターとして各種テレビ番組にも出演。幅広い知識と広い視野に立った史論が度々話題となる。NPO法人八潮ハーモニー理事長として地域文化活動でも活躍中。行動する歴史作家である。

いま地球規模の「人類史」という観点からも注目され、一方で一般教養、知識としても人気が高い「世界史」。世界規模の歴史を学ぶ上で大切なのは、歴史を流れとして捉えること、歴史にも原因と結果があり「なぜ」そこに至ることになったのか大もとの理由を理解すること、そして見ただけで忘れないようにビジュアルで視覚的覚えること。本書ではさらにアジアや日本の歴史とその役割にも重点を置き、最新の発見や新しい史論を取り入れた、世界史の学び直しにも、入門にも最適な知的好奇心を満足させる1冊。

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