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認知症の人がなじみのある人にも「はじめまして」と言ってしまう時の対処法とは!?【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

Text:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

1:人とかかわる場面|昨日会った知人を忘れるとき

○エピソード

認知症のある母は、昨日会ったなじみのお隣さんに、「はじめまして」と挨拶しています。お隣さんも「え……?」と戸惑った様子。本人に「○○さんでしょ!」と言っても、母はわからないようです。

【対応1】会う人に、初めてのように対応してもらうよう依頼する

認知症のある人は人を見分けたり、記憶を保持したりする力が低下して、誰かと会ったこと自体を忘れてしまうことがあります。これは認知症の症状で、しかたのないこと。忘れた事実を本人に突きつけ無理に思い出させようとするよりも、周囲がそれを理解し、本人の自尊心を第1に、あたかも初めて会ったように挨拶を交わしてみてはどうでしょうか。笑顔で「はじめまして」と返せば、本人は混乱せず、スムーズにコミュニケーションがとれるはずです。その後あらためて家族から、「○○さんという方だよ」と紹介してもよいと思います。

そもそも人は一期一会。このように、毎日新しい出会いとしてと捉えてよいのではないでしょうか。

【対応2】「お隣さん、こんにちは」と関係性を示すキーワードを盛り込む

本人も「この人が誰か、どんな関係かわからない」ことには、少なからず不安を感じています。例えば、近所の人を忘れているようなら「お隣の○○さん。こんにちは」など、関係性がわかるキーワードをさりげなく盛り込んで呼びかけるようにしてみるのもよいでしょう。その関係性を伝えるヒントから、本人が「あの人か!」と見当をつけられる可能性が上がるはずです。

または、例えば「こちらの○○さんと一緒に中華料理を食べたんだってね」など、以前の付き合いのエピソードがわかる言葉などからも記憶が補われて、相手を思い出せるかもしれません。

【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

【書誌情報】
『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』
著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

認知症は、理解しにくい言動を引き起こす脳の病気です。家族が「どう言葉をかけたらいいんだろう」「どう接したらいいのかな」「とてもつらい」と感じることが多いでしょう。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」では、介護現場の専門家が日々の接し方や対応のヒントを提供し、プロの視点と方法で、家庭での介護が少しでもラクになるように、ご本人とともにかけがえのない日々を過ごしてほしいという願いが込められています。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」を活用して、実践してほしいと思います。今後のためにも読んでおきたいおすすめの一冊です。

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