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認知症の人は何回も昔の話をしてしまう…何回も昔の話をされた時の対応法とは!?【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

Text:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

11:会話の場面|何回も昔の話をするとき

○エピソード

認知症と診断されて3年ほどの母。私が忙しいときに限って、昔の話を何回もしてきます。イライラして「さっきも聞いたでしょ!何回も来ないで」とつい言ってしまいます。

【対応1】毎回、「そうなんだね!」とはじめて聞いたように対応する

認知症のある人は、直前の記憶があいまいになったり消えてしまったりしています。無理はしなくてよいのですが、あなたが否定せず、可能な範囲で毎回「初めて聞いた」ように付き合うと、本人の喪失感や落胆などの精神状態の低下を防げます。それは認知症の進行を防ぐことでもあるのです。

常に一緒に生活していると難しいかもしれませんが、ある意味、女優または俳優になりきり、「そうなのね!」と興味がある様子を演じてしまいましょう。そうすると、摩擦が起こらず、意外と関係がうまくいくものです。

【対応2】どれくらいの間隔で、どんなときに、どの話を何回するかメモする

まず、「話す間隔」を記録しましょう。記憶がおおむね何分もつのかを探ると、次に本人が話しかけようとする時間を予測しやすくなります。次に、「話の内容は毎回同じか」「どのくらいの時間帯に話したがるのか」などを探ってみましょう。これらが把握できれば、法則や理由が何となくわかってきます・単に同じことをくりかえしているだけのように感じていたことも、そうではないかもしれません。対応が練りやすく、お互いの心が少し楽になり、ストレスが緩和されます。

また、本人が話したいことを予測して、「この話をしたいんだけど」と話かけてみると、本人は「私をわかってくれている」と感じ、より円滑にコミュニケーションがとれるかもしれません。

認知症介護は、このように相手の気持ちに寄り添うようにして、いろいろなことを試し、その変化を楽しみながらやってもよいのです。

【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

【書誌情報】
『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』
著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

認知症は、理解しにくい言動を引き起こす脳の病気です。家族が「どう言葉をかけたらいいんだろう」「どう接したらいいのかな」「とてもつらい」と感じることが多いでしょう。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」では、介護現場の専門家が日々の接し方や対応のヒントを提供し、プロの視点と方法で、家庭での介護が少しでもラクになるように、ご本人とともにかけがえのない日々を過ごしてほしいという願いが込められています。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」を活用して、実践してほしいと思います。今後のためにも読んでおきたいおすすめの一冊です。

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