大量殺人はなぜ起こってしまう?【図解 犯罪心理学】
動機と属性による大量殺人の分類
大量殺人はひとりの犯人が同時にひとつの場所で多数の人を殺害するタイプの殺人です。FBIでは、1度に4人以上の人を殺すことと定義していますが、日本ではふたりから3人以上を殺害した際に使われることが多いです。
フォックスとレビンは、大量殺人事件を動機に基づいて分類しています。
ひとつ目は恨みを持っている個人や集団を狙った復讐型。ふたつ目は自らの力を誇示するパワー型。3つ目は一家心中などを起こしてしまう誠実型。4つ目は強盗傷害による利益型。最後は、殺害を通して政治的、宗教的なメッセージを送るテロ型です。
また、日本では大量殺人事件を犯人の行動と属性に注目して3パターンに分類しています。
ひとつ目は、公共の場所でそこに居合わせた、自分と面識のない人を無差別に襲う無差別大量殺傷型。ふたつ目は家族など自分と面識のある人を殺傷し、最後は自殺するというパターンの一家心中型。最後が強盗などの機会に居合わせた人を殺傷するなどの凶悪犯罪型です。
凶悪犯罪型は、共犯者がいる場合も多く、暴力団の抗争によるものや、保険金を受け取るために建物に放火するものなど、行動も目的も多様です。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
監修者プロフィール
法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』(化学同人)、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)ほか多数。
昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。
公開日:2024.07.24