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社会的・宗教的思想を持った団体に所属したテロリストから近年は個人テロリストが増えている!?その要因とは?【図解 犯罪心理学】

Text:監修:越智啓太

近年は個人テロリストが増えている!?【図解 犯罪心理学】

組織に属さない個人テロリスト

近年は単一の論点に絞ったテロリズムが増加していると述べましたが、それと共に近年のテロの特徴として挙げられるのが、組織に属さずに単独でテロを行う、個人テロリストの存在です。

従来のテロリズムでは、テロの実行犯はなんらかの社会的・宗教的思想を持った団体に所属した上で、組織の方針に従ってテロを決行するというケースが一般的でした。ところが近年は、インターネットなどの影響によって独自に思想を過激化させた個人が、集団に属することなく、単独でテロを行うというケースが見られるようになっています。こうした個人テロリストは、「ローンアクター型テロリスト」または「ローンウルフ型テロリスト」と呼ばれます。「ローンアクター型テロリスト」は、なんの前触れもなく突発的に出現し、犯行の予測が困難であることから大きな問題となっています。

また、個人テロリストの中でも、海外からインターネットを通じて洗脳され、自分の育ってきた国で宗教テロを行うタイプの犯人のことを、「ホームグロウンテロリスト」といいます。近年は多くのテロ組織がインターネットを使った宣伝やリクルート活動を行っていることから、個人テロリストの出現をどう防ぐかが、テロ対策における大きな課題のひとつといえます。

近年は個人テロリストが増えている!?【図解 犯罪心理学】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
監修者プロフィール
法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』(化学同人)、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)ほか多数。

 昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
 犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。

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