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中田翔、巨人移籍 。再生のカギは改心【二宮清純 スポーツの嵐】

Text:二宮清純

2年前までは阿部慎之助が付けていた背番号10

 同僚選手への暴力行為で、球団から無期限出場停止処分を受けていた中田翔(北海道日本ハム)の電撃無償トレードが決まった。

 移籍先は巨人。8月20日には入団会見を行なった。

「こうやってチャンスをいただいた。一から自分を見つめ直して、しっかりやっていく」

 8月16日の時点で日ハム・栗山英樹監督は「正直、このチーム(での復帰)は難しいと思っている」と“放出”を示唆していた。

 その直後に栗山が動く。太いパイプを持つ巨人・原辰徳監督に直接電話をかけ、トレードを打診したのだ。

 栗山との信頼関係に加え、原には「再生できる」との確信があったのだろう。

「新たなチームに大きな希望を持って来てくれた」

 22日の横浜DeNA戦では、移籍第1号をマークした。

 巨人での背番号はスター選手格の「10」。2年前までは現2軍監督の阿部慎之助が背負っていたものだ。

 余談だが、巨人の「10」と言えば、昔から大物の“外様”が付ける印象がある。

 たとえば東映、日拓、日ハムを経て、76年に巨人にやってきた張本勲。東映時代から背負っていた番号だ。

 張本は76、77年と2年続けて首位打者争いを演じる活躍で、長嶋巨人のリーグ2連覇に貢献した。

 古い所では、野武士軍団の一員として、西鉄の3年連続日本一(56~58年)に貢献した高倉照幸。巨人では王貞治、長嶋茂雄の後の5番を打ち、その勝負強さから、他球団には“用心棒”と恐れられた。

 90年代ではヤクルトからFA移籍した広澤克実が思い出される。95年に入団し、99年までプレーした。最初の2年間は「80」だったが、97年から「10」に変更した。

 話を中田に戻そう。気になるのは年俸だ。

 中田と日ハムは、18年オフ、年俸2億8000万円(プラス出来高)で3年契約を結んだ。今季は3億4000万円。巨人と契約をかわした8月20日以降の報酬は、通常なら日割り計算で巨人が支払うことになる。

 問題は来季以降だ。今季、残りゲームで相当活躍し、優勝に貢献しないことには、大幅な年俸カットが予想される。

 それでなくても、移籍前までの成績は39試合に出場し、打率1割9分3厘、4本塁打、13打点と全くいいところなし。

「このまま殺しちゃダメ。もう一度生かすんだ」

 原の温情に報いられるかどうかは、ひとえに中田の“改心”にかかっている。

初出=週刊漫画ゴラク2021年9月3日発売号