佐々木はメジャーに通用するのか
WBC日本代表30人のメンバーの中でも千葉ロッテの21歳・佐々木朗希への注目度は一際高い。
プロ入り3年目の昨シーズンは20試合に登板し、9勝4敗、防御率2・02という素晴らしい成績を残した。
圧巻だったのは4月10日、オリックス戦での完全試合だ。13者連続奪三振(世界初)、1試合19奪三振(日本タイ)と記録ずくめだった。
その佐々木はメジャーリーグの打者相手に通用するのか。
「そんなもん言わんでも、みんなわかっています」
日本人メジャーリーガーのパイオニア野茂英雄が、キャンプで佐々木の投球練習を見て発した言葉が全てだろう。
佐々木にとっての幸運は、“育ての親”である吉井理人千葉ロッテ監督が、WBC日本代表の投手コーチの任に就いたことだ。
そのメリットについて佐々木はこう語っている。
「元々、“こうしろ”とか言われるのは(自分に)合う感じではないので、高校の時からそういう形でやっていたし、ある意味、好きにやらせてもらったので、それがプロになってもできているのは吉井さんがいたから。おかげで良くも悪くもいろいろな経験ができて、その分、自分の中で吸収が早かったりとかはあると思います」(スポニチ23年2月14日付け)
近鉄、ヤクルトを経て98年、吉井はメッツに移籍した。そこで投手コーチをしていたボブ・アポダカから、吉井は大きな影響を受ける。
「日本の指導を受けていた僕からすると、びっくりするようなことをボブは言った。“自分のやりたいように、やってくれ。キミのことを知っているのはキミ自身だ。自分のやり方で良い方法を見つけながら、話し合いながらやっていこう”と。日本では一度も言われたことがなかった」
アポダカから教わったことを、今、吉井はそのまま佐々木に伝えているのだ。
また腹案として、吉井は、「世界のチームを相手に、異国の地で朗希や山本由伸が投げるところを見たい。大谷(翔平)やダルビッシュ(有)が投げるところは別に見たくないかなと(笑)」と、米国での準決勝、決勝に佐々木と山本を先発させることを、ほのめかせている。
吉井には「日本には、こんなすごい投手がいるんですよ、ということを知ってもらいたい」という思いに加え、メジャーリーガーからすれば、大谷やダルビッシュと比べて、佐々木や山本に関する情報が不足しているとの読みもあるのだろう。もちろん、こうした腹案自体が“しゃみせん”の可能性もなくはない。既にWBCは始まっているのだ。
※上部の写真はイメージです。
初出=週刊漫画ゴラク2023年3月3日発売号