細胞の老廃物や脂肪を運び、免疫も担当
全身に張り巡らされた老廃物を流す「水道」
リンパ管はリンパ液の通り道で、血管に沿って体中に張り巡らされています。「リンパ」はもともとラテン語で「清水の流れ」を意味し、日本では『解体新書』にはじめて登場。当時は「水道」と訳されました。リンパ管を流れるのは、淡い黄色のリンパ液です。リンパ液は、毛細血管からしみ出した血漿(けっしょう)がリンパ管に入ったもので、細胞から排出された老廃物や、腸で吸収された脂肪を運ぶ役目を果たしています。リンパ管の途中には、リンパ節と呼ばれるソラマメ大の器官があります。リンパ節は首や脇の下、足のつけ根など、ヒトの体内に約800個存在し、リンパ液中の細菌やウイルスなどの異物を濾(こ)し取るはたらきをしています。リンパ節のなかにはマクロファージという免疫細胞が待ち構えていて、その異物と戦っています。
むくみの正体はリンパ液の漏れ
リンパはむくみが発生するメカニズムにも関わっています。血液は本来、心臓から送り出され、心臓に戻っていきますが、長時間立ちっぱなしでいると、筋肉の力で静脈血を押し上げることができなくなり、足などの末端から心臓に戻っていける血液の量が減少してしまいます。すると、毛細血管に大きな圧力がかかり、戻れなかった血液が毛細血管から漏れてリンパ液としてたまります。これが、むくみの正体です。むくみの症状が出ても、足を動かしたり、歩いたりすることでリンパ液は回収され、むくみは解消されます。
リンパ液が血液に戻っていくしくみ
老廃物を静脈に戻す
集合リンパ管・・・毛細リンパ管が合流し、太くなっている
リンパ節・・・各部から集まってきたリンパ液をろ過する
毛細リンパ管・・・ところどころ隙間があり、リンパ液が流れ込んでくる
リンパ液は、くり返しろ過され、静脈に注ぎこむときには、ほとんど異物が取り除かれる。
シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ
図解シリーズは、文章と分かりやすい図で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。
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気になる中身を少しだけご紹介!耳はどんなふうに働いて音を感じるの?
空気の振動を電気信号に変換させ聴覚を生む
いくつもの器官を通って脳に辿り着く
耳の最初の役目は、音を集めることで、そのはたらきをしているのは外側に張り出している「耳介」です。耳介は、音を集めるアンテナで形がぼこぼこしているのは、音を正確に聞き取るためだといわれています。音の正体は音波という空気の振動です。耳介で集められた音波は、外耳道を通り、その先にある「鼓膜」にぶつかると、今度は鼓膜を振動させます。振動は、鼓膜の先にある「耳小骨」というヒトの体のなかで最も小さい骨に伝わります。耳小骨の先には、渦巻き状の「蝸牛」があり、振動が伝わると、なかにあるリンパ液が振動し、蝸牛のなかにある有毛細胞をふるわせます。この有毛細胞はピアノの鍵盤のように音程順に並んでいて、感知した振動の内容を電気信号に変換します。それが神経を通って大脳に伝わり、音として認識されるのです。
耳が遠くなるのは、有毛細胞の衰えが原因
年を取っていくと、耳から入った音が脳に辿り着くまでの間に、さまざまな問題が発生するようになります。なかでも耳が遠くなる最大の原因は、蝸牛にある有毛細胞の衰えです。有毛細胞は蝸牛の入口に近いほど高い音、奥に行くほど低い音に反応するしくみになっていますが、どんな音も同じように入口から入ってくるので高い音を担当する細胞ほどダメージを受けやすくなります。そのためヒトは、年を重ねるごとに高い音から聞こえにくくなっていきます。
音波が聴覚に変わるしくみ
①音波が鼓膜に届き、鼓膜が振動する
②耳小骨が鼓膜の振動の力を増幅する
③ふるえが蝸牛のなかを巡り、電気信号に変わる
④電気信号が内耳神経を通って脳に伝わる
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解剖学は,医師や看護師、整体師、介護士、栄養士など医療・健康職や、トレーナー、ヨガ指導者など、スポーツ関係者が身に付けておくべき専門知識で、資格試験の科目です。いま、多くの人が勉強している解剖学のディープな面白さを、一般の人に向けて、ゆるくて楽しいイラストを使い、わかりやすく図解します
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』
著:坂井 建雄
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公開日:2023.09.12