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技術的、体力的な強化ではなくゴルフが上手くなる方法とは?【思いで叶えるゴルフ上達法/佐久間馨】

Text:佐久間馨

アイデンティティが変わっただけで10億円以上、手にした選手がいる!

私の著作に、『ゴルフは突然うまくなる』(現代書林刊) というタイトルの本があります。 実は、この本にはゴルフの技術については何も書いていません。扱っているのは、本書と同じでメンタル面を変えることで、ゴルフが突然うまくなるための方法です。「技術やテクニックを変えずに、アイデンティティだけ変えてゴルフのスコアがよくなる? そんなうまい話があるわけがない!」。こんな疑念を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ゴルフからは少し離れますが、アイデンティティを変えただけで、大きな飛躍を遂げたあるプロスポーツ選手のお話を紹介しましょう。2 0 1 5 年に引退した高橋尚成というプロ野球選手がいます。実は、私は2 0 0 6 年のオフから彼のメンタルコーチとして、定期的にアドバイスを行なってきました。私と初めて会った頃の彼の技術面での自己評価は、速球のスピードがあまり速くないこともあり「A」止まりでした。 さらに彼の場合、メンタル面の自己評価も高くなく、「自分は変化球で打者をかわして打ち取るタイプだ」と思い込んでいました。

このタイプのピッチャーの場合、三振をバンバン取るタイプに比べて、打者を打ち取るのに球数を要するため、消耗が激しく、その割には成績に結びつきづらい傾向があります。高橋投手はデビューから3 年ほどは順調に活躍していましたが、その後は思うような成績を上げられなくなり、壁にぶち当たっていました。

高橋投手は、1 年でも長く、当時在籍していた読売巨人軍でプレイしたいと希望していましたが、私と初めて会った年には、年間2 勝しか挙げられず、いつ戦力外(簡単に言うとクビ) になってもおかしくない状況に追い込まれていました。事実、スポーツ新聞には「高橋尚成、トレードか?」といった噂が、まことしやかに報道される状況になっていたのです。そんな窮地に置かれていた高橋投手でしたが、私がメンタルコーチを始めると、まもなく復活し、巨人軍の主力投手に返り咲いただけではなく、アメリカのメジャーリーグにも挑戦し、大きな活躍をするまでになったのです。

このように大変貌を遂げた高橋投手でしたが、彼が大成功を収めるまでにやったことは、新しい変化球を覚えるといった技術的なことでも、体力的な強化でもなく、正にアイデンティティを変えることだけだったのです。

 彼のアイデンティティが変わったきっかけとなったのは、あるデータの存在でした。ある日、私が彼の投球データを調べてみたところ、当時巨人軍のエースとして首脳陣の厚い信頼を得ていた内海哲也投手より、高橋投手のほうが高い確率で、三振でアウトを取っていることに気がつきました。

高橋投手は彼自身が自分に下していた「かわすタイプ」のピッチャーではなく、実は、真っ向勝負をして三振が取れるタイプのピッチャーだったのです。 そのことに気がついた私は、さっそく、高橋投手に「君は、打者をかわして打ち取るべき投手ではない!  三振が取れる投手」「ストレートが生命線だ」と諭しました。すると、大きな変化がいきなり現われたのです。それまで1 3 9 キロ程度だった高橋投手の速球のスピードが、この話をした次の登板では1 4 4 ~ 5 キロにもなったのです。「俺はストレートで十分抑えられる!三振が取れる」。高橋投手の心の中に、こんな気持ちが宿ったのでしょう。この日を境に高橋投手は生まれ変わりました。その年の彼は、開幕から5連勝を上げるなど、大活躍をし、オールスターゲームへの出場を果たしました。さらに、最優秀防御率のタイトルまで手にしたのです。

【書誌情報】
『信じればパープレイは必ずできる! 「思い」で叶えるゴルフ上達法』
著者:佐久間馨

「ゴルフを上手くなりたい」と考える人は、自分のスイングを直そうとします。それもひとつの方法ですが、スイングを直すだけではスコアアップは望めません。「練習不要」をうたい、「練習ぎらい」を書名にした著書もある本書の著者は、「パープレイは誰でもできる」と言います。その方法となるのは、プレイの発想方法とやり方を変えること。簡単にスコアがよくなる発想方法があるのです。この本では、その方法を数多く紹介しています。明日コースに出る人でも実践できることばかりで、ゴルフがより一層楽しくなるはずです。