本人も気づいていない「瞬間的な居眠り」がある!
睡眠負債を抱えた状態での運転は、アルコールや薬物摂取時の運転と同じくらい危険です。睡眠負債を抱えているときの判断力やパフォーマンスの低下は、これまでの研究からも明らかです。一見、正常に活動しているように見えたり、本人の自覚がなかったりするぶん、むしろ飲酒運転より危険かもしれません。
アメリカの学会誌『Sleep』に、夜勤がある科(内科など)の医師と、夜勤がない科(放射線科など)の医師20名を対象に、日中の覚醒状況を比較した調査結果が発表されています。
その調査によると、夜勤明けの医師は、本人も認識していないほど瞬間的な居眠り(マイクロスリープ)をしていることがわかったのです。マイクロスリープとは、脳波から読みとることができる眠りの状態で、1秒足らずの瞬間的なものもあれば、10秒程度つづくこともあります。
夜勤明けの医師にみられたマイクロスリープは、最長4秒ほどもありました。ところが、たいていはほんの一瞬の短い眠りであるために、本人も気がつかない場合が多くあります。これがマイクロスリープの怖さです。
休日の寝だめでは、日ごろの睡眠負債を完全に解消することも、睡眠預金もできないのです。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 睡眠の話』
監修:西野精治
ぐっすり、すっきりを同時に手に入れる。明日、人生最高の朝になる──。最先端の睡眠法で常識が変わる。今晩からできる睡眠革命! なかなか寝つけない、眠っても疲れがとれない、眠りが浅くて寝たりない──。多くの人が気になる睡眠のお悩み。スタンフォードに学ぶ最新の研究をもとに睡眠の科学的メカ二ズムを解明しました。つい人に話したくなる睡眠の新常識から、スムースな入眠のためのメソッド、睡眠習慣のつくり方まで、極上の眠りを手に入れる方法を、図解データとともにズバリ解説します。
公開日:2021.06.09