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ゲームセンターなどで人気のエアホッケーのパックが滑るしくみとは?【物理の話】

Text:長澤光晴

空気の圧力で摩擦消滅

エアホッケーは、ゲームセンターなどでよく見かける人気の遊具です。エアホッケーでは、台の上面(天板)を滑らかに動くパック(円盤状のプラスチック)を、対戦相手と打ち合って得点を競い合います。

ここでは、エアホッケーのパックが滑るしくみを考えてみましょう。

エアホッケー台の天板には、たくさんの孔(あな)が空けられていて、台の中の空洞(空気溜)につながっています。空気溜へは送風機から常に空気が送り込まれていて、天板の孔を通って外へ吹き出しています。

パックを滑らせるためには、空気溜の圧力を大気圧よりも高くする必要があります。そのための工夫が、厚い天板と小さな断面積の孔です。

空気には粘性があるので、直径の小さな細長い孔を空気が通り抜けるためには、孔の持つ大きな粘性抵抗に打ち勝つための高い圧力(大きな圧力差)が必要です。

エアホッケー台では、厚みのある天板に空けた細長い孔によって、台の空気溜の圧力P1を大気圧P0よりも高い状態に保つことができます。

天板にパックを置くと、パック下面の孔は出口にフタをされた格好になって空気の流れが滞るので、パック下面の空気の圧力は空気溜の圧力程度にまで高まります。

すると、大気との圧力差によって、パックには上向きの力が働きます。パックは、この上向きの力とパックに働く下向きの重力が釣り合うところまで浮上して安定するわけです。

このように、パックの上面と下面との圧力差を使ってパックを浮かせて摩擦をなくすことで、少しの力でもパックをスムーズに動かせるのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』
著者:長澤光晴  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1967年生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒業。北海道大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。東京電機大学工学部基礎教育センター・工学部環境化学科准教授、フランス国立極低温研究所(CRTBT)客員研究員(2001年)を経て、現在は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻教授。博士(理学)。日本物理学会所属。著書に『面白いほどよくわかる物理』(日本文芸社)がある。


水洗トイレ・冷蔵庫からジェトコースター、スケート、虹、オーロラ、飛行機、人工衛星・GPSまで身の回りにある物や現象のしくみが面白いほどよくわかる!文系の人でも理解できるよう、とにかくわかりやすく、またとにかく図を使ってうまく説明しました! 本書で扱ったテーマは、身の回りにそれとなくある物や現象です。それらの仕組みを知らなくても生きてはいけますが、知っていればなかなか楽しく暮らしていける、そんなものばかりです。物理の醍醐味は、いろいろな現象を少数の法則や定理そして少しの仮定で取り扱うことができるところにあると思います。

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