体を支える中心に腰椎がある
背骨と呼ばれる脊椎のなかでも、腰痛と密接に関わっているのが腰椎です。第1章で紹介した「腰部脊柱管狭窄症」や「腰椎椎間板ヘルニア」のほか、「腰椎椎体骨折(圧迫骨折)」「腰椎分離症」など、腰痛の代名詞ともいえる疾患は全て、腰椎の不調から引き起こされます。
腰椎は5個の椎骨で形成され、一番下は骨盤の一部である仙骨と連結しています。一個一個は前方の椎体、後方の椎弓と棘突起、前方と後方を繋ぐ椎弓根からなり、骨の中には神経が通るトンネル状の椎孔(脊柱管)もあります。
その腰椎の間に挟まれているのが、髄核とそれを包み込む線維輪でつくられた椎間板です。柔らかなゲル状の組織で、衝撃を和らげ、骨同士の摩擦を防ぐクッションの働きも担っています。また、解剖学的に見ても腰椎の重要性がわかります。脊椎中央を構成する胸椎よりも大きくて存在感があり、断面で見ると胴体の中心付近に位置します。腰椎は胴体の中において、まさに大黒柱としての役割を果たしているのです。
それゆえ、腰椎が関わるトラブルは立つ、座る、歩くといった日常の動作にも多大な影響を与え、生活の質を下げる原因にもなりかねません。腰椎のケアや活性にも役立つを実践しつつ、日頃から腰痛予防の意識を高めましょう。
体を支える中心に腰椎がある
腰椎は胴体の中心付近にどっしりと構え、体の土台としての大事な役目を担っています。だからこそ、不調を招くとダメージも大きいのです。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔
【書誌情報】
『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』
著:吉原潔
今や4人に1人が悩んでいるとも言われる国民病である『腰痛』。ぶつけた、痛めた、ぎっくり腰といった原因がハッキリしている腰痛だけでなく、『脊柱管狭窄症』『椎間板ヘルニア』『ぎっくり腰』などによる痛みや、病院で検査しても特に異常が無いと言われるものまで、痛みの原因は多種多様にあります。しかし、そんな痛みに対して痛み止めや筋弛緩剤などの薬で対処療法だけをしていても根本の治癒にはなかなか繋がらないため、しっかりと『腰痛の原因』と向き合うことが大切です。本書ではそんな腰痛を治して、長い人生を痛み無く健康に過ごすために、『脊柱脊髄外科専門医』と『フィットネストレーナー』という2つの肩書を持つ腰痛の名医による、腰痛が治らない意外な原因と、骨と筋肉にアプローチする自宅でできる腰痛のセルフケア法を紹介します。
公開日:2023.07.27