明日12月22日から二十四節気は冬至です。
冬至 節の話
冬至の初日は一年でもっとも夜の時間が長い日です。寒さの本番はこれから。冬の季節はまだまだ続くと感じる時季でもありますが、この初日を境に少しずつ昼の時間が伸びると思うと、寒い冬の次には必ず春が来るということを思い出させてくれます。
冬至には、厄払いのためユズ湯に入ったり、縁起を担ぐためにカボチャを食べたりする習慣が有名です。特に、明るい黄色のユズが爽やかな香りを漂わせながら湯ぶねに浮いている様子は、見るだけでわくわくします。
ユズはミカン科ミカン属。飛鳥、奈良時代とかなり古い時期に中国から日本へ渡ってきたと考えられています。柑橘類は暖かい地域で生息する植物ですが、ユズは耐寒性が強く、病気にもなりにくいため、日本の風土に合った柑橘類です。
生薬としては橙子皮(とうしひ)と呼ばれ、血行促進、加温、抗菌、消炎などの作用があります。冬至のユズ湯はまさにこの効果を利用した
薬湯。血行が促進され体が温まり、消炎作用から肌のトラブルも落ち着かせます。刺激が強いため、入れる量は少量に、直接肌にこすりつけることは避けて。肌が弱い方は足湯などにとどめましょう。
ユズの精油は、ほのかな苦みがある酸味が特徴で、和精油として海外でも人気。頭をクリアに、空気をきれいにしてくれるユズの精油はリフレッシュしたいときにうってつけです。
柑橘類の精油の多くは、果皮に強い圧力をかけて精油を抽出する圧搾(あっさく)法で採られています。この圧搾法による精油には、その成分が付着したまま紫外線の光を受けるとシミなどが生じる光毒性成分が入っている場合があります。陽に当たらなければ問題ない成分ですが、気になる方は光毒性成分を含まない水蒸気蒸留法で抽出された精油もあるので探してみてください。
日本では、ユズポン酢、ユズ茶、ユズジャム、ゆべしなど、多くのユズ製品が出まわっており、ユズがいかに日本人に愛されているかがうかがえます。その中の一つ、九州発祥のユズ胡椒は、ユズに唐辛子を混ぜた万能調味料。熟したユズも熟す前の青いユズも使われていますが、特に青いユズと青唐辛子の組み合わせは、一段と爽やかな香りがします。
寒い時季は温かな鍋料理が恋しくなります。おすすめは手羽先でしっかりとった出汁でいただく鶏肉と野菜の鍋。味の決め手は少しの塩とユズ胡椒です。熟したユズを切って添えれば、青ユズと黄ユズ、その両方が味わえることに。めぐる季節を感じながらの食事の時間は、暮らしを豊かにしてくれます。
<暮らしのアイデア>風邪予防に常備したいユズとハーブのコーディアル
コーディアルとは、心臓によいとされる食品をアルコールに漬け込んだ滋養強壮薬。アルコールではなく、砂糖水などのシロップにハーブの薬効を抽出させたものはハーブコーディアルと呼びます。
材料
写真左上から
砂糖……200g
水……300cc
写真左下から
ドライエルダーフラワー……10g
ユズ……1個
ショウガ……1片
クローブ……10個
作り方
1.ショウガを千切りにする。
2.ユズの皮の白い部分が入らないよう、黄色い部分のみを薄く剥く。
3.皮をむいた後のユズを半分に切り、レモン絞り器で絞る。種などを漉して果汁にする。
4.クローブを手、もしくは包丁で半分に割る。
5.鍋に水と砂糖を入れて火にかけ、砂糖が溶けるまでかき混ぜながら中火で温める。
6.砂糖が溶けたら、ドライエルダーフラワー、1のショウガ、2のユズの皮のみ、4のクローブを全て入れる。
7.常にかき混ぜながら、弱火で10〜12分煮込む。
8.全体が濃いめの黄土色になったら火を止める。3で絞ったユズの果汁を全て入れる。
9.ボウルの上にざるとふきんを重ね、8の液を濾す。
10.煮沸をしたガラス瓶に入れてでき上がり。
冷蔵庫で保管し、1〜2週間で使い切りましょう。
コーディアルの飲み方
今回の材料には、ビタミン豊富なユズに加え、風邪の諸症状に良いとされているエルダーフラワーや、身体を温めるショウガ、クローブが入っているので、体調を崩しやすいこの時季には常備しておくと、飲みたいときにさっと飲めるのでとても便利です。
お湯で割る場合の濃さはお好みですが、カップ1杯に対して大さじ1強から調節してみてください。また、お湯以外にも水、炭酸水、ハーブティーなどで割ってもとても美味しいです。寝る前などには、温めた牛乳に少し垂らしても温まりますよ。
さて。明日の晩はユズ湯でしょうか。
子どものころ、とても良い香りで見た目にも可愛らしいユズが浮いているお風呂は、とてもわくわくしたもの。ユズ湯あがりにはユズとエルダーフラワーのハーブコーディアルでさらに暖まってくださいね。
【書誌情報】
『二十四節気 暦のレシピ』
猪飼牧子・清水美由紀 著
古くから季節を表す言葉「二十四節気 七十二候」をテーマに、季節の移り変わりを花や植物で感じながら、ものづくりの楽しみを提案。小さな変化を繰り返しながら、季節とともに四季をたどっていく植物。その時季の植物をアレンジメントや料理やおやつに生かしたり、心と体を健やかするハーブやアロマを活用したり、ちょっとしたおもてなしの小物をつくったり。二十四節気を植物とものづくりで体感できるアイデアとレシピ120を紹介します。
関連サイト
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公開日:2023.12.21