犯罪につながる性格特性
犯罪を心理学的に考えていくと、そこには、犯罪を犯しやすい性格特性というものが見えてきます。ここでは、その中のいくつかを解説していきましょう。
まず挙げられるのは「敵意帰属バイアス」です。これは、外から何か刺激があった場合にそれを自分に対する挑発や攻撃と捉えやすい認知的傾向です。
次が「敵意的反芻傾向」です。一般的に、喚起された怒りは、時間とともに収まっていきます。しかし、このタイプの人は怒りが湧いた状況を何度も繰り返して考えてしまうことによって、その怒りを持続させてしまうのです。
3つ目に挙げられるのは「セルフコントロールの欠如」です。言葉の通り、自分自身の欲望や感情を抑えることができず、場当たり的な満足を求めてしまう傾向です。
最後に「生涯持続型反社会性」です。青年期のみに非行に走る人は多くいますが、このタイプの人は、一生涯にわたって犯罪を繰り返すのです。このような人には原因となる遺伝子と、その影響によって生じた何らかの神経学的な異常があるのではないかと考えられています。
さらに、自分を愛し特別だと思う「自己愛傾向(ナルシシズム傾向)」の人も、攻撃性が強くなるとされています。
出典:『図解 眠れなくなるほど面白い 犯罪心理学』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。
公開日:2024.03.07