文明は大河の近くで誕生・発展する【図解 地理と経済の話】
中国悠久の歴史を支えたふたつの大河
「世界四大文明」は、いずれも大河のほとりで生まれました。中国の黄河文明もそのひとつです。ここでは中国を例に挙げて大河と文明の関係を解説します。
日本や中国では四大文明と表現されますが、国際的には「文明のゆりかご」ともいわれ、そこでは四大文明のほかにもさまざまな文明発祥の地が挙げられています。そして、そのなかに中国の長江(揚子江)から起こった長江文明が含まれているのです。
現在、長江文明は黄河文明より先に生じたとする研究もありますが、いずれにしても中国を代表するふたつの大河が文明のゆりかごとなったのは確かでしょう。
中国は、東部に広い平野を持っています。風や雨の浸食を受けたなだらかな大地に沿って、大河が下流へと土砂を押し流してできたものです。平野は農業に適した地形なので、ここに人々が定住し、国を形成していきました。広大な平野は、都市を築き、これを拡大していくのにも適していたわけです。
7世紀には、ふたつの大河を結ぶ運河もできました。龍にたとえられることもある黄河と長江、そして各地に延びる多数の運河により発達した水運は、昔も今も人々の移動と物流を支える重要なインフラなのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある
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昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
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公開日:2024.10.23