北海道に潜んだ“隠れキリシタン”の真実、殉教と布教の歴史とは【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】


実は深い歴史がある北海道とキリスト教の関係
殉教者たちと日本初の司祭
戦国時代、多くの大名はキリシタンの布教に寛容で、豊臣秀吉が天下を治めた天正13年(1585)頃には、日本のキリシタン人口は70万人に達していたとも言われています(当時の日本の人口は推計で約1000万人)。しかし、秀吉は天正15年に「伴天連追放令」を発令し、キリスト教の布教を制限。
また、慶長18年(1613)には江戸幕府が禁教令を出し、翌年から宗徒の迫害が行われました。この時、棄教に応じない者はマニラなどの海外や津軽に流刑となり、その後、津軽に流された宗徒の多くが蝦夷地(北海道)の砂金掘りの労働者として隠れ住みました。
当時、松前藩主は「蝦夷は日本にあらず」と明言していましたが、その後、幕府の命により寛永16年(1639)にキリシタンを大量処刑。この時、千軒金山で50人、大沢金山で50人、さらに日市まで逃れた6人が処刑されました。
もう一つ、キリスト教と深い縁を持つ地が函館です。文久元年(1861)、ロシア正教会に所属するニコライ・カサートキン修道司祭が函館に上陸し、日本ハリストス正教会を設立。さらにニコライは、まだ禁教令が解かれていなかった明治元年(1868)に、3人の日本人信者に極秘で洗礼を施しました。そのうちの1人は坂本龍馬の従兄弟の澤邊琢磨で、澤邊はのちに日本人初のハリストス正教会の司祭になりました。
道南に刻まれたキリスト教の足跡

正教の普及に努めたニコライと澤邊
箱館(函館)への来日からおよそ10年後の明治5年(1872)、ニコライは東京へ移り、その約20年後の明治24年(1891)に東京復活大聖堂(ニコライ堂)を建立。また、当初殺害の意図をもってニコライと接触した澤邊は、議論を戦わすうちに正教の信徒となった。明治8年(1875)に司祭となった澤邊は、東北を中心に布教活動を行い、正教会の創設や発展に尽くした。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話』監修:和田 哲
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話』
監修:和田 哲
★累計300万部突破!『眠れなくなるほど面白い図解シリーズ』初の“地域探求ジャンル”!ガイドブックでは教えてくれない北海道の面白い知識の数々を専門家が徹底解説!★
広大な土地と、エリアごとに様々な魅力を感じることのできる北の大地“北海道”。
お祭り、グルメ、多様な観光スポットなど、その魅力から国内、国外問わず多くの人が観光に訪れます。
しかし、おいしいお店や観光スポットの情報は知っていても、意外と北海道という土地の本当の面白さを知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで本書では、長年北海道を街歩きして研究してきた著者が、北海道の面白すぎる歴史や食の知識、地名や風習のトリビアなどを余すことなく徹底解説!
『北海道の開拓がスピーディーにできたのは屈強な囚人たちがいたから』
『北海道の隠れた激うまグルメ“シシャモのオス”』
『北海道の盆踊りは“大人の事情”で二部制』
など、すぐにでも誰かに話したくなるような内容が満載です。
北海道に住んでいる方も、そうでない方も、もっともっと北海道の魅力を知ることができる一冊です。
この記事のCategory
オススメ記事

カムイは“神”とは違う? 自然と共にあるアイヌの生き方とは【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】

アイヌ以外にも北海道に住んでいた『謎の海洋民族』とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】

義経を追いかけた女性の恨みが岩になった!?【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】

五稜郭や松前城だけじゃない!北海道の城は個性派揃い【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】

オスが超美味!道民が隠す絶品グルメ“本シシャモ”とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】

札幌生まれの味噌ラーメン!「味の三平」が作った革命の一杯【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】

縄文時代からそばを育てていた!? 北海道がそば生産量No.1の理由【眠れなくなるほど面白い 図解 北海道の話】
