かわいい顔して超マッチョ! ジャイアントパンダの野生力とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】

白黒のアイドル、実はマッチョ ジャイアントパンダ

● モフモフの白い毛:黒や茶色のクマが多いなか、ジャイアントパンダは白。
● 目のまわりの黒模様:目のまわりが黒で塗りつぶされたようになっている。
● 体重100kg超の筋肉質:体には筋肉がぎっしり。太い前足で木によじ登る。
● 骨でできた第6の指:竹をつかむために、手首の骨が進化。

世界中で愛される人気者ジャイアントパンダ。ふくよかな見た目に反して、竹を噛み砕くアゴの力はライオンに匹敵します。ひとり静かに山奥で暮らす、意外にたくましい野生動物です。

パンダといえば竹だけど、肉も食べられる?

中国四川省などの標高1200〜3000m級の山岳地帯に生息するジャイアントパンダ。一見するとのんびり屋のようですが、実は相当なタフネスの持ち主です。

体重が100kgを超える個体も珍しくなく、クマ科らしいがっしりした骨格をしています。そして、モフモフの毛皮に包まれたその体には、屈強な筋肉が詰まっているのです。この筋肉を巧みに使い、上手に木に登ります。しかし、下りるのは苦手で、木から落ちてしまうこともしばしばです。

主食は竹ですが、ジャイアントパンダはあくまで草食寄りの雑食。腸の構造が肉食動物に近く、昔は肉も食べていたと考えられています。のちに竹という消化しにくい食材に特化することで、競争の少ない食環境を手に入れました。

そして、可愛らしい丸い手には「第6の指」と呼ばれる秘密兵器が備わっています。といっても正確には指ではなく、手首の骨が進化した「擬似の親指」です。これを使って器用に竹を握り、皮をむき、割って、口へ運ぶという一連の動作をこなします。

分類上はれっきとしたクマ科の動物ですが、かつてはレッサーパンダに近い独立したグループとされていました。古くから中国では平和と友好の象徴とされ、現在も「パンダ外交」が行われるなど、各国との関係を築くうえで重要な存在です。保護のための国際的な取り組みも活発に進められており、減少していた野生の個体数はゆるやかに回復しています。

あの愛らしい姿の奥には、環境に適応し、生きるすべを極限まで突き詰めた進化の知恵が宿っています。可愛いけれど、可愛いだけじゃない。ジャイアントパンダは、クマとしての要素をしっかりと備えた奥深い動物なのです。

ひとりが好きで何が悪い!孤高のぼっち

ジャイアントパンダは、完全なる単独主義です。1歳半〜2歳に差しかかると、母親が突然子どもを自分の生活場所から追い出し、独り立ちさせます。その後は、繁殖期以外はほかの個体とつるむこともなく、黙々と竹を食べてのんびりとマイペースに過ごします。温厚な性格のため、人を襲うようなことも基本的にありません。

一方、メスをめぐるオス同士の対決では、立ち上がって本気の肉弾戦を繰り広げることがあります。あのコロコロとした体型が武器に変わる瞬間です。引っかき、かみつき、重量級の体がぶつかり合います。

さらに意外なのが声の豊富さです。「ブーブー」「キーキー」「メエメエ」など、豊かな鳴き声を使い分けます。もしパンダのいる動物園に行く機会があれば、ぜひ聞いてみてください。

竹をずっと食べている理由は 栄養をうまく吸収できないから

雑食とはいえ、基本は竹一筋の食生活を送っているジャイアントパンダ。実は、その栄養は体にさほど吸収されていません。消化機能が肉食動物に近いことが原因です。それでも、エサの競争を避け、厳しい環境を生き抜いていく手段として、竹を食べ続けることを選びました。

しかし、うまく竹の栄養を吸収できないため、少量食べるだけでは栄養が足りません。そこで、1日12時間以上かけて10〜20kgの竹をひたすら食べ、量を摂ることで栄養を補っているのです。そのほとんどは消化されず、なんと1日に40回近く排泄することも。

また、ときには小動物や果実といった竹以外のものを食べます。特に動物園では、栄養面を考慮し、ニンジンやリンゴなどを与える場合もあるようです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
監修:山﨑晃司


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世界中数多くの動物園で飼育され、アニメや漫画、ファンシーキャラクターのモチーフとしても起用されることの多い人気の動物「クマ」。
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