細胞にも寿命があり、自殺もする
細胞とは、私たちの体をつくっている生命の最小単位で、脂質の膜で囲まれた袋です。ヒトの体は約40兆個もの細胞が集まってできていて、細胞一つひとつはしっかり呼吸をして生きています。
1個の細胞が分裂することで2個以上の新しい細胞がつくられることを「細胞分裂」といい、この分裂の限界を寿命といいます。「すべての細胞は細胞から生まれる」のです。
その形や大きさ、寿命はまちまちで、1日で入れ替わるものから数ヵ月、数年、あるいは、心臓や脳神経細胞のように、生涯細胞分裂をしないものもあります。
細胞の中には「核」があって、同じ働きをする組織が集まり、体を維持するための機能を持つ器官をつくり、それに連携して個体を形成します。
ひとつの細胞は、「核」と「細胞質基質」、そしてこれらを囲む「細胞膜」からなります。英語で細胞のことをcell(小室)といいます。
平均的な大きさは直径20μm(マイクロメートル)程度、0・02ミリぐらいです。細胞は病気や事故だけでなく、自らも死んでいきます。細胞の自殺行為は個体をより良い状態に保つために積極的に行われます。
例えば、オタマジャクシのように、手や足が生えてくるが尻尾は消えていくのは、しっぽの細胞が自ら死んで、カエルに成長していくとされています。
なんと毎分3億個近く、1日あたり3000から4000憶個の細胞が自殺しているといいます。重さにして約200gですが、新しく生まれてくる細胞と死んでいく細胞がありますから、体重はさほど変わるものではありません。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』
著:志賀 貢
シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。
公開日:2020.10.01