「季節ブルー」はなぜ起きる? 自律神経・ホルモン・免疫が乱れる仕組みとは【その、しんどさは「季節ブルー」】

季節ブルーの正体 心と体がバテてしまう仕組み

ここまで、「季節の変わり目に何となく不調になる人」の事例や特徴を紹介してきました。ではなぜ、季節の変わり目にブルーになるのか具体的に見ていきましょう。それは、季節の変化という外の環境ストレスが、私たちの心と体の結び目(連絡網)である自律神経や、気分・体調を調整するホルモンや免疫システムのバランスを乱すからです

●自律神経や免疫システムの乱れ

私たちの体は、暑いときも、寒いときも交感神経が働いて、常に体温を一定に保とうとします。季節の移り変わりによって外気の温度・湿度・日照量などの差が大きいと、交感神経の働きが活発になります。

これは、気分の落ち込み、不眠、疲労感などを引き起こすだけでなく、免疫システムにも影響を及ぼします。その結果、感染症にかかりやすくなるといったような免疫力の低下を招くだけでなく、逆に免疫が過剰に反応し、アレルギー症状の悪化などを引き起こす「免疫システムの乱れ」にもつながります。

本来、免疫力とは単に強いか弱いかではなく、状況に応じて反応を適切に「調節する能力」のことです。しかし、季節の変化がもたらすストレスは、この精巧なバランスを崩す一因となります。免疫システムが過剰に反応すると、アレルギー症状の悪化や、うつ病などの気分の落ち込みといった「現代病」を引き起こすことが指摘されています。

●日照時間の変化による影響

季節によって日照時間は変化し、夏と冬では、昼夜の日光照射時間が逆転します。精神安定に関わる「セロトニン」という神経伝達物質は、日光を浴びることで分泌が促進されます。秋から冬にかけて日照時間が短くなると、セロトニンの分泌が減少。すると、気分の落ち込み、不安感、意欲低下などを感じやすくなります

また、自然な眠りを促す「メラトニン」というホルモンは、体内時計に基づいて脳から夜間に分泌され、日の光によって分泌が抑制されます。太陽の光を浴びる機会が減ると、メラトニン分泌に影響を与え、結果、寝つきが悪い、途中で目が覚める、熟睡感がないといった睡眠問題を引き起こすのです。

日照時間の変化によって、視床下部からのホルモンの分泌に影響が及び、自律神経の不調や免疫反応の異常を引き起こします。さまざまな機能の変調が互いに影響し合いながら、心と体のさまざまな不調をもたらすのです。

●生活環境の影響

季節の変化のほかにも、仕事内容や人間関係、情報過多、化学物質や電磁波にさらされることなど、現代社会ならではのストレスの影響も考えられます。エアコンの普及で夏も冬も快適な室温で過ごせるようになった反面、自然な気温の変化に対応する抵抗力が弱まっています。夜型の生活、パソコン・スマホから常に情報を受け取る生活も、体内時計やホルモン分泌、自律神経を乱す一因と言えるでしょう。

花粉アレルギーや黄砂、PM2.5などの影響も考えられます。東洋医学では、花粉は「風邪(ふうじゃ)」と呼ばれる「邪気(じゃき)」のひとつとされます。こうした異物や現代生活にあふれる化学物質は、私たちの体に共生する有益な微生物を過度に排除し、免疫システムの正常な調節機能を狂わせます。その結果、免疫がさまざまなものに過剰に反応しやすくなるのです。

季節ブルーの起きる仕組み

・季節の移り変わり
・激しい気温差
・日照時間の変化
・生活環境の影響

・自律神経の乱れ
・ホルモン分泌の乱れ
・免疫システムの乱れ

【出典】『その、しんどさは「季節ブルー」』著:長沼睦雄

【書誌情報】
『その、しんどさは「季節ブルー」』
著:長沼睦雄


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「春先はいつもイライラして、眠れない」
「雨が降る前は、決まって頭が痛い」
「秋になると、理由もなく気分が落ち込む」
「寒い冬はずっと気分が鬱々としてしまう…」

毎年やってくる季節の変わり目の不調。
それは、あなたの「気のせい」でも「怠け」でもありません。
実は近年、こうした「季節ブルー」を感じる方がとても多くみられます。

西洋医学では「自律神経の乱れ」や「ホルモンバランスの変化」と説明されるそれらの不調は、二千年以上前の東洋医学の聖典『黄帝内経』によれば、自然界のエネルギー(気)と私たちの体が共鳴し合うことで生じる、ごく自然な反応です。

だから、心と体がしんどくなっても、決して自分を責めないでください。

本書は、過敏性研究の第一人者である著者が、西洋医学の豊富な知識で不調の「正体」を解き明かしながら、東洋医学の知恵を用いて、あなたに寄り添う1冊です。

最新の医学的知見と、古代からの壮大な知恵を組み合わせ、「なぜ季節の変わり目に、あなたの心と体はゆらぐのか?」その根本原因を解き明かし、気圧、気温、湿度、日照時間といった自然のリズムと上手に付き合い、自分自身を優しくいたわるための具体的な「養生法」を提案します。

私たちが本来持っている自然治癒力を引き出し、根本からゆらぎにくい心と体質へと整えていきましょう。
ページをめくるごとに、自分の不調の正体がわかり、心がふっと軽くなるはずです。

もう、季節の変化に振り回されない。
これは、変化の多い時代を生きるあなたのための、一生もののお守りとなる一冊です。

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