イライラ・不眠を防ぐ睡眠、春の不調は「肝」を大事に【その、しんどさは「季節ブルー」】

【春のセルフケア】質の良い睡眠で肝の気を養う
春は「肝」の季節。肝は血液の貯蔵と、全身の「気」のめぐりを司る臓腑と考えられています。新生活の始まりに伴うストレスや、活動量の増加は、肝に大きな負担をかけ、気の滞りや「血」の不足を起こし、イライラ、憂うつ、不眠、疲労感、目の疲れ、筋肉のけいれんなど、春ブルーのさまざまな症状を招きます。
したがって、春には、肝をいたわる休息とリフレッシュを意識することが、心と体のバランスを整える上で不可欠です。
肝の血液が補充されるのは夜間の睡眠中のため、十分な睡眠時間が重要です。東洋医学における、夜23時~翌朝3時の時間帯は、肝の血が養われ、気のめぐりが整うゴールデンタイム。この時間帯に質の良い深い睡眠をとることを意識します。
疲労を感じたら無理をせず、積極的に休息を取り入れましょう。短い昼寝をするのもいいでしょう。
睡眠不足や過労は、肝の血液や栄養の不足を引き起こし、これが自律神経の乱れや感情の不安定さにつながるのです。西洋医学においても、睡眠は自律神経やホルモン、免疫バランスの調整に不可欠としています。
睡眠不足はストレス感受性を高め、「コルチゾール」や「アドレナリン」などのストレスホルモンの分泌を促し、結果、心と体の不調(疲労感、気分の落ち込み、集中力低下、イライラなど)を悪化させるのです。
睡眠の質を上げるためのポイント
まず生活リズムを整え、毎日できるだけ同じ時間に就寝し、起床する習慣をつけましょう。
また、心がリラックスできる時間を持つことも、肝の気の滞りを解消するのに役立ちます。趣味の時間を持つ、好きな音楽を聴く、アロマテラピーを取り入れる、軽く読書をする、あるいは静かに瞑想するなどの活動は、心と体の緊張を解き放ち、ストレスを軽減します。
不眠がちだったり、夢を多く見て熟睡感が乏しくなったりして、日中の集中力が続かないといった症状がある場合は、肝の「気」が乱れている可能性が高いため、こうしたリフレッシュ法は特に効果的です。心のゆとりを持つことで、感情の波が穏やかになり、春の陽気に調和した健やかな心と体を保つことができるでしょう。
スマホやパソコンの画面から発せられるブルーライトは、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌を抑制するため、就寝前には控えめにしましょう。
リラックスできる環境を整えることも不可欠です。寝室を暗くし、適温に保ち、静かな環境をつくるようにしましょう。ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、軽いストレッチや瞑想を行うなど、心と体を落ち着かせるルーティンを取り入れるのも効果的です。
十分な睡眠を確保することで、肝の血が養われ、自律神経が整い、春の不安定な時期でも心と体のバランスを良好に保つことができるでしょう。
【出典】『その、しんどさは「季節ブルー」』著:長沼睦雄
【書誌情報】
『その、しんどさは「季節ブルー」』
著:長沼睦雄
「春先はいつもイライラして、眠れない」
「雨が降る前は、決まって頭が痛い」
「秋になると、理由もなく気分が落ち込む」
「寒い冬はずっと気分が鬱々としてしまう…」
毎年やってくる季節の変わり目の不調。
それは、あなたの「気のせい」でも「怠け」でもありません。
実は近年、こうした「季節ブルー」を感じる方がとても多くみられます。
西洋医学では「自律神経の乱れ」や「ホルモンバランスの変化」と説明されるそれらの不調は、二千年以上前の東洋医学の聖典『黄帝内経』によれば、自然界のエネルギー(気)と私たちの体が共鳴し合うことで生じる、ごく自然な反応です。
だから、心と体がしんどくなっても、決して自分を責めないでください。
本書は、過敏性研究の第一人者である著者が、西洋医学の豊富な知識で不調の「正体」を解き明かしながら、東洋医学の知恵を用いて、あなたに寄り添う1冊です。
最新の医学的知見と、古代からの壮大な知恵を組み合わせ、「なぜ季節の変わり目に、あなたの心と体はゆらぐのか?」その根本原因を解き明かし、気圧、気温、湿度、日照時間といった自然のリズムと上手に付き合い、自分自身を優しくいたわるための具体的な「養生法」を提案します。
私たちが本来持っている自然治癒力を引き出し、根本からゆらぎにくい心と体質へと整えていきましょう。
ページをめくるごとに、自分の不調の正体がわかり、心がふっと軽くなるはずです。
もう、季節の変化に振り回されない。
これは、変化の多い時代を生きるあなたのための、一生もののお守りとなる一冊です。
この記事のCategory
オススメ記事

たった1分で心が軽くなる。呼吸が持つ“最強のセルフケア”【その、しんどさは「季節ブルー」】

「魔法の言葉」で心にやすらぎを! ハワイの伝統的な問題解決法を基にした記憶のクリーニング【その、しんどさは「季節ブルー」】

自分を責めないで。季節の変化に敏感なあなたが持つ“繊細力”という才能【その、しんどさは「季節ブルー」】

頑張りすぎていませんか? 心と体の声を受け入れるだけで軽くなるワケ【その、しんどさは「季節ブルー」】

花粉症・五月病・不眠…春に不調が増える理由とは【その、しんどさは「季節ブルー」】

西洋医学だけでは解けない身体の不調、東洋医学で考える健康のバランス【その、しんどさは「季節ブルー」】

未病の段階でケアしたい「季節性感情障害」が及ぼす日常生活の影響とは【その、しんどさは「季節ブルー」】


