軍に正式所属したクマがいた!?“ヴォイテク伍長”という伝説【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】
 
「ヴォイテク伍長」という兵士として働くクマがいた
軍隊に所属した本物のクマ
動物が軍隊に所属するとはフィクションのようですが、第二次世界大戦中、ポーランド軍には兵士のクマが実在しました。名はヴォイテクといい、その活躍の記録が残っています。
1942年、イランの山中で孤児となっていた子グマをポーランド兵が保護し、仲間として育てはじめました。ミルクや果物を与え、兵士たちと一緒にテントで眠るうちに、ヴォイテクはすっかり部隊の一員に。遊び心と癒やしを届ける「戦場のマスコット」として愛されていきます。やがて部隊はイタリア戦線への移動命令を受けますが、船での輸送には「動物の同乗は禁止」という規則が。そこで兵士たちは機転を利かせ、ヴォイテクを正式な兵士として登録しました。伍長という階級を授け、物資補給中隊の一員として”法的に”クマを軍に所属させたのです。戦場では実際に、砲弾の箱を抱えて運ぶ任務を果たしたといいます。
戦後はスコットランドで余生を送り、1963年にこの世を去りました。ポーランドやイギリスには彼を称える銅像が建てられ、現在も「伝説の戦うクマ」として語り継がれています。
ヴォイテクの物語は、ただの愉快な逸話ではありません。そこには、戦場という過酷な環境のなかで、人と動物が深い信頼関係を築いた事実が存在するのです。
ヴォイテク伍長の一生
① ポーランド軍が保護
イラン山中で孤児となっていた子グマをポーランド軍が保護し、仲間として育てた。
② マスコット的存在に
兵士たちと一緒に過ごすうちに、子グマはすっかり部隊の一員に。戦場の癒やしとして愛された。
③ 正式な兵士として登録
イタリア戦線へともに向かうために、物資補給中隊の一員として正式に軍に所属することとなった。
④ 戦後はスコットランドへ
戦後はスコットランドで余生を過ごした。のちに銅像が建てられ、「伝説の戦うクマ」として今も語り継がれている。

伍長はどのくらい偉いのか?
ヴォイテクの階級「伍長」は、数名の兵士を指導する役割を担います。ただのマスコットではなく、兵卒より上のリーダー格として、仲間たちの士気を高めました。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司
【書誌情報】
 『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
 監修:山﨑晃司
世界中数多くの動物園で飼育され、アニメや漫画、ファンシーキャラクターのモチーフとしても起用されることの多い人気の動物「クマ」。
 最近では日本全国で目撃が相次いで発生したり、温暖化の影響で冬眠をしないクマも確認されたりすることから、話題に事欠かない今大注目の動物です。
しかし、ペットとして飼うことは難しく、ときに人を襲う恐ろしい側面も持ち合わせるクマ。
 それなのになぜ人間にとって馴染み深く身近な存在に感じるのでしょうか。
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 愛玩動物、猛獣、食用、ワーキングアニマルなど、さまざまな角度からクマの生態と特徴を解説し、クマの知られざる魅力に迫ります。
 これを読めばクマのことがもっと好きになること間違いなしの一冊です。
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