【人体の不思議】死後も細胞は活動している? 心臓が止まった後に体に起こる変化とは【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

心臓が止まったあと、体には何が起こる?

心臓→脳→筋肉→臓器と順に終えていく

 人の死は、スイッチを切るように一瞬で訪れるわけではありません。心臓が止まった瞬間から、体のなかでは他の臓器がそれぞれの役割を終える過程に入っていきます。命が体のなかを順に受け渡されながら消えていくように、死は段階を追って進行していきます。

 まず、全身に血液を送り出す役目を持つ心臓の動きが停止すると、全身の細胞に酸素が届かなくなります。なかでも、脳は酸素をもっとも必要とする器官であり、酸素が届かなくなるとわずか数分で電気的な活動が消失してしまいます。この段階で、意識のすべてが断たれ、人は外界とのつながりを失っていきます。その後、酸素を失った臓器が次々と力を失い、筋肉や内臓も静かに沈黙へ向かっていきます。

 次の段階では、細胞そのものが崩れはじめます。体内の化学反応が止まり、代謝が働かなくなると、酵素や細菌が細胞を内側から分解していきます。これが「自己融解」と呼ばれる現象です。体はゆっくりと、目に見えない形で内部から静寂に包まれていきます。

 このように、死とは一瞬のうちに訪れるものではなく、体のなかで起こる小さな終焉の積み重ねです。その順番を知ることで、生命がいかに緻密なしくみで成り立っているかを認識できるようになります。

体の機能は順番に終わりを迎える

①心肺停止(経過時間 0分)

酸素欠乏によって心筋の電気活動が途絶。血液の流れが止まり、全身への酸素供給も終了する

②脳の活動が途絶える(経過時間 1〜5分)

酸素の供給が途絶えると神経細胞が急速に壊死。電気活動が完全に消失する

③筋肉が硬直しはじめる(経過時間 10〜20分)

生物の活動に必要なエネルギーを供給する物質(ATP)がなくなり、筋肉がだんだんと硬直していく

④臓器の機能が完全に止まる(経過時間 1〜2時間)

肝臓は血流停止後、すぐにエネルギー枯渇によって停止。また、腎細胞は酸素欠乏で壊れはじめ、胃腸の消化運動・分泌も止まる

死は心臓からはじまり、脳、臓器、細胞へと連鎖していく。命が体のなかでバトンを渡しながら、徐々に終わりを迎える。

死後に自分自身で分解する「自己融解」

①心臓が止まったことにより、エネルギー不足になった細胞が機能を維持できなくなる

②さまざまな分解酵素を含む細胞内小器官・リソソームが破れ、細胞内部を溶かしはじめる

③周囲の細胞も次々と壊れ、筋肉や内臓などの組織がやわらかく崩れやすい状態になる

④酵素の作用が進み、組織が溶けて液状化していく

自己融解とは、死後に体内の酵素が細胞を溶かしはじめる現象。組織が崩れ、やがて液化して腐敗へとつながる。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』監修:島田裕巳

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』
監修:島田裕巳


【Amazonで購入する】

死とは何か──
シリーズ累計400万部を超える『眠れなくなるほど面白い図解』シリーズで、専門家と徹底考察。

人はいつか死ぬ。しかし、「死」は誰もが避けられないことでありながら、普段はなかなか考えにくい話です。
本書は、人間にとって「死」がどのような意味を持つのかを、医学・科学・文化・宗教・歴史など多角的な視点から解説します。

死の定義や脳死の問題、なぜ生物は死ぬ仕組みがあるのか、臨死体験の実態など、科学的な問いから入り、土葬・火葬・風葬といった文化的慣習や、世界各地の葬儀・死者とのつながり、日本の仏式葬儀の背景まで、人類がどのように死に向き合ってきたかを幅広く紹介します。
さらに、尊厳死や安楽死、終活、遺書やホスピス医の事例などを通して、死と向き合う心理や現代社会の課題にも触れ、あらゆる角度から「死」を考察。

「死」を正しく知ることで、日々の生き方を見つめ直し、今をより充実させるヒントが詰まった一冊です。

この記事のCategory

求人情報

インフォテキストが入ります