なぜ眠りは戻れるのに死は戻れないのか?脳波が語る超えられない一線とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 死の話】

「死」と「眠り」はどこが違うのか

似ていても決定的に異なる意識の停止

 人が眠りにつくとき、意識はゆっくり遠のいていきます。呼吸も脈も穏やかになり、深い静寂のなかに沈み込んでいきます。その姿は“死”にも似ており、古代から「眠りと死は兄弟」といわれてきたのも、私たちがこの2つを意識的に重ね合わせてきた証でしょう。

 しかし、脳の状態を比べてみると、両者の違いは明確です。深い眠りに入ると、脳の活動は低下し、ゆるやかな波が規則正しく続いていきます。それでも脳の一部は休まず働き、「レム睡眠」と呼ばれる活性化の時間には記憶を整理して定着させるなど、重要な活動が行われています。つまり、眠っているときの脳は静けさのなかでも“調整”という能動的な働きをしているのです。

 一方、死に至ると、こうした活動は完全に途絶え、脳の電気信号そのものが消失します。外界からの刺激に反応することもできなくなります。そこが眠りとの間に横たわる決定的で越えがたい境界なのです。

 眠りは、翌日の活動に向けて体と心を回復させる休息のプロセスですが、死は戻ることのない終着点であり、すべての機能が停止している状態を指します。死を「永遠の眠り」と表現することはあっても、内部で起きている現象はまったく異なるものだといえるでしょう。

脳の状態で見る「眠り」と「死」の違い

  • 【睡眠時】脳は休息しつつも、活動を止めることはない
  • 【死亡時】脳の電気信号がすべて消え、活動が停止する

眠っているときは脳が活動を続けている一方で、死に至るとすべての電気信号が消え、活動の再開は起こらない。

眠っていても脳は活動している

  • 【レム睡眠】脳が活発に働き、記憶を整理して定着させる。夢を見るのは主にこの時間
  • 【ノンレム睡眠】眠りが深い状態で、脳の働きも静か。成長ホルモンが多く分泌され、体の回復が進む

睡眠時、深い休息をもたらす「ノンレム睡眠」と、夢を見る「レム睡眠」が交互に訪れる。脳は休みながらも働きを続け、記憶を整理し、次の目覚めに備えている。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』監修:島田裕巳

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『眠れなくなるほど面白い 図解 死の話』
監修:島田裕巳


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