プロ9年目の僕と高卒1年目の選手では、野球に対しての「解像度」が違う! アドバイスの仕方や若手とのコミュニケーションについて。巨人、高梨雄平投手の連載日記【ナシさんのアリな話 鉄腕奪取】第14回!

第14回 リリーフ陣最年長として、若手との接し方とは?

ラブすぽ読者のみなさん、読売ジャイアンツの高梨雄平です。今季も応援、宜しくお願いします!前回のコラムでは僕が「二軍キャンプ」で感じたことを書かせてもらいましたが、今回は少し趣向を変えて、選手たちとの交流について伝えてみたいと思います。

二軍キャンプで過ごすと、当然一軍よりも周りには若い選手が増えます。特に僕は今、ジャイアンツのリリーフ陣では最年長。そうなると「最年長として」「若手の手本として」みたいな話をされることが増えてくるんですけど、僕自身は正直、あまり意識していないです。

ただ、年の離れた選手と一緒に練習したり、コミュニケーションを取る機会が増えてくるのもまた事実。プロ野球という世界は年齢による上下関係みたいなものがあるとはいえ、上は40代から下は高校を卒業したばかりの18歳までが「実力」でしのぎを削る世界でもあります。

キャリアを積むうちに、最近では若い選手からアドバイスを求められたりすることも増えてきたんですけど、そのときに気をつけていることは「この選手は、どのレベルの話までしても大丈夫なのか」を意識することです。もちろん、せっかくアドバイスを求めてくれたのだから、僕としては少しでも参考になる話をしてあげたい。ただ、33歳でプロ9年目の僕と、たとえば高卒1年目の選手では、考え方や野球に対しての「解像度」が違うことがほとんど。実際に、いろいろ話をしてみてリアクションを見たら「あれ、たぶん全然理解されていないか」と思ったことも多々あります(笑)。

ただ、これも別に相手が悪いワケではなくて、シンプルにお互いの理解度や言語感覚が違っただけの話。そういう意味では深い話をする前に、たわいもないコミュニケーションもとっておくことで、お互いのキャラクターや「解像度」を知っておくことも大事なのかもしれません。

そのうえで、「最近は年下の選手と会話することも増えてきた僕(笑)」が意識していること。それは相手が18歳なら、「18歳だ」と思って話をすることです。別にチームメイトに限った話ではありません。僕は相手が幼稚園児であればしっかりと「幼稚園児だ」と意識して会話をするようにしています。だから若い選手を相手にふざけて絡むこともあるし、そうやって意識してコミュニケーションをとるほうが、クリアすべき壁も少ない気がするんです。

ただ、ここで気をつけなければいけないのが、僕のやり方が必ずしも「正解」だとは限らないということです。コミュニケーションって結局、相手がどう感じるかなので、僕の対応がどう受け取られているかは、僕にはわからないし、もっと言えばコントロールも出来ない。もしかしたら「ウザいおっさん」と思われている可能性だってあります(笑)。

相手に委ねる部分が大きい以上、自分から合わせるのは限界があるし、そこは理解されないなら仕方がない。そういう「割り切り」みたいなものも必要な気がします。

ただ、ひとつだけ気をつけているのは「俺、コミュ力高いから」みたいなことを言ったり、そういう態度をとらないこと。

ちょっと考えればわかるんですけど、そういう人が目の前にいたら「ん?」って思いませんか?実際、たまにいますしね(笑)。ただ、そう思わせてしまった時点で、「コミュ力」は絶対に低いじゃないですか。そこが矛盾している人、けっこういる気がするので、それだけは気をつけています。

あとは、よく言う「最近の若者」みたいなカテゴライズはしないことも、ちょっと意識しているかもしれません。もちろん、毎年新しい選手がチームに入団してきて、「世代間ギャップ」を感じることは増えてきた気がします。ただ、そもそもプロ野球で1チームに入団してくる選手は10人くらいで、その中でコミュニケーションを取ることのある「10代」の「投手」となると、1人とか2人くらいなもんです。サンプルが少なすぎて、彼らだけを指して「最近の若い選手」と言い切るのは、ちょっと違うし、そもそも不可能だと思うんですよね。

ましてや、「プロ野球」なんていう特殊な世界に飛び込んでくる人間は、たいていが「変わり者」です(笑)。そんな集団なので、変にカテゴライズしないほうが、コミュニケーションは円滑にいく気がします。

……ってこれって今、コラムで「俺、コミュ力高いから」みたいなこと、書いてますかね?(笑)ボロが出る前に今日はこの辺で失礼します!次回のコラムもお楽しみに!

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