村上宗隆の挑戦。シカゴの“神”へ【二宮清純 スポーツの嵐】

三冠王経験者初のメジャー
東京ヤクルト時代の2022年、NPB史上最年少となる22歳で三冠王に輝いた村上宗隆のホワイトソックス移籍が決まった。
2年総額3400万ドル(約53億3800万円)。NPB最強打者のポスティング移籍とあって1億ドル(約156億9000万円)を超える大型契約を予想する米国メディアもあったが、球団間のマネーゲームに発展することはなかった。
村上の契約条件が、予想を下回った理由として、米国メディアは守備の不安と三振率の高さをあげている。
まず守備の不安についてだが、本人も「あまり自信がない」と認めている。
本職とする三塁での失策数は、21年から3年連続でセ・リーグでワーストだった。
ホワイトソックスは一塁、三塁、もしくはDHでの起用をほのめかしているが、三塁を守った場合、メジャーリーガーの強烈な打球に反応できるかが心配だ。一塁だと、ワンバウンドの送球の処理を誤ると、他の内野手からの信頼を損ねるリスクがある。
「(守備を)克服しながら、努力して上達します」
二つ目の三振率の高さについては、それほど気にしなくてもいいのではないか。
村上の近年の三振率(三振数÷打席数×100)は24年が29.5%、23年が28.1%。19年、20年、23年、24年の4シーズンで、セ・リーグの“三振王”となっている。ちなみにメジャーリーガーの25年の平均三振率は22.2%である。
こう見ていくと、確かに三振、とりわけ空振りの多い打者だということがわかる。一方でこれは“長距離砲の向こう傷”と割り切って考えるべきだ、との意見もある。
私もその考え方だ。三振を恐れて、小器用に当てに行くバッティングに変えると、逆に村上の長所が失われかねない。「角を矯めて牛を殺す」というヤツだ。
それよりも本塁打率に目を向けよう。故障で出遅れた25年シーズン、結果的には56試合にしか出場できなかったが、それでも22本塁打をマークして周囲を驚かせた。
本塁打率(打数分のホームラン数)は驚異の8.50。これは40本塁打をマークして、自身初の本塁打王に輝いた佐藤輝明(阪神)の13.43を大きく上回るものだった。
これまでも、打撃3部門(打率、本塁打、打点)のタイトルホルダーは、何人もMLBに挑んでいる。だが三冠王経験者は初めて。日本で“村神様”と呼ばれた男は、米国でもゴッドになれるのか。
初出=週刊漫画ゴラク1月16日発売号
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