殿堂入りと帽子。栗山英樹の選択【二宮清純 スポーツの嵐】

日本代表なら史上初
殿堂入りを果たした者のレリーフ(ブロンズ製胸像額)は、東京ドーム内にある野球殿堂博物館の殿堂ホールに飾られている。
レリーフのもとになる写真は博物館が彫刻家に提供するが、帽子は表彰者本人の意向が尊重されるという。
今年はヤクルトで7年間プレーし、北海道日本ハムの監督として2016年に日本一を達成、また日本代表監督として23年の第5回WBCを制した栗山英樹が選出された。指導者としての実績も評価の対象となるエキスパート部門での表彰だ。
さて栗山は、レリーフ用の帽子をどれにするのか。
たとえば史上唯一の400勝投手である金田正一のレリーフは、巨人の帽子姿で制作されている。
スワローズファンの気持ちは複雑だろう。というのも、金田は400勝のうち、実に353勝をヤクルトの前身の国鉄で記録している。いくら400勝目が巨人だったとはいえ、巨人での勝ち星は47勝に過ぎない。
にもかかわらず、金田は巨人の帽子を選んだ。没後も巨人という権威に身を委ねたかったのか。
同様のことは、NPB史上最多となる通算3085安打をマークした張本勲についても言える。3085本の内訳をみると、東映・日拓・日本ハムで2435本、巨人で526本、ロッテで124本。記録だけを見れば東映の帽子が妥当のように思われるが、張本が選んだのは金田同様YGマークの帽子だった。
栗山のエキスパート表彰の先輩にあたるのが星野仙一である。中日であげた146勝より、監督として中日、阪神、東北楽天の3球団でリーグ優勝を果たした手腕が評価された。
星野は中日でも阪神でもなく、楽天の帽子を選択した。理由としては、指揮を執った3球団の中で唯一、日本一を達成したのが楽天であること。それに加え、日本一は東日本大震災で被災した東北の地に勇気を与えた。その意味で、2013年は星野にとって特別なシーズンであり、楽天は特別な球団なのだろう。
ユニークなのは野村克也だ。キャッチャーらしく帽子を後ろ向きに被り、マークがわからないようになっている。選手兼監督も含め24年間プレーした南海の帽子と考えるのが妥当だが、最後は球団とケンカ別れした。あえて南海のマークを隠したところがノムさんらしい。
さて栗山は、どこの帽子を選ぶのか。仮に日本代表の帽子姿でレリーフに収まれば、史上初の表彰者ということになる。
初出=週刊漫画ゴラク2月21日発売号
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