育った環境が「不安ぐせ」のもとになることも【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

育った環境が「不安ぐせ」のもとになることも

3つの自律神経のうち、つながりの神経である腹側迷走神経だけは、生まれてすぐには機能しません。身近にいて世話をしてくれる人との関わりが、この神経を育てていくからです。

お母さんのおなかにいる頃から思春期や20歳頃まで、誰かが寄り添い、お互いが穏やかさや安心を感じる協働調整によって、腹側迷走神経はしだいに発達していきます。目覚ましく発達するのは、生後半年ほどと2〜3歳頃ともいわれます。

生まれたばかりの頃は、交感神経のプレーキと背側迷走神経の急ブレーキのみが使える「自動調整」の状態です。誰かと一緒にいてリラックスしたり、自然と心拍が穏やかになったりという神経は、まだ機能していません。

子どもはしばしば、泣きじゃくったり怒って叫んだりと、不快感を爆発させることがありますよね。それは、腹側迷走神経がまだ発達途上にあり、交感神経のアクセルを穏やかなブレーキで抑えることができないからとも考えられます。

世話をしてくれる人などから自分の緊張や興奮を収めてもらい、その人と一緒に心地よい感覚を味わう経験を重ねていくうちに、腹側迷走神経は発達し、穏やかなブレーキとして機能するようになっていきます。お互いが交流による心地よさを共有するので、協働調整といいます。

協働調整が少ない環境も「不安ぐせ」の要因のひとつ

しかし、何らかの事情から協働調整が少ない環境で育つと、腹側迷走神経がうまく育たないこともあります。たとえば親が多忙で、子どもにかまう時間がまったくない。反対に、子どもに干渉しすぎる、精神疾患やトラウマなどで親自身が苦しんでいるなど。

かまわなすぎても、かまいすぎても、課題が生まれてしまうというのは難しい部分もありますが、子どものニーズに応える対応をとることが腹側迷走神経を育てることにつながります。

生育環境によっては、子どもの腹側迷走神経が育たず、つねに不安やイライラを抱える「不安ぐせ」の原因となるケースもあります。

【出典】『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論』著:浅井 咲子

【書誌情報】
『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論』
著:浅井 咲子


【Amazonで購入する】

3つの自律神経を味方につけて〈不安ぐせ〉を〈安心ぐせ〉に変える!

「次から次へと心配ごとがでてくる」
「ニュースやSNSで不安になりがち」
「イライラする」「ストレスに弱い」
「気持ちの浮き沈みがはげしい」「やる気が起きない」
などの〈不安ぐせ〉を抱える人へ。

ポリヴェーガル理論は、ステファン・ポージェス博士によって提唱された自律神経系の神経理論です。
自律神経を、1つの交感神経と2つの副交感神経(背側迷走神経と腹側迷走神経)の3つで捉えます。

本書では「セオリー」「テクニック」「ワーク」に分けてわかりやすく紹介します。
本当は必要ではないのに過剰に防衛したり、考えても仕方がないことにイラっとしたり、不安になったり。
そうしたもったいない時間を減らして、「今ここ」にある幸せを感じ、安心できるようになるためのメソッドです。

この記事のCategory

オススメ記事

つながるだけで心が軽くなるワケ「腹側迷走神経」のはたらきとは?【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

自律神経を整えるには「3つの顔」を知るのが近道【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

自分のどの自律神経が働きすぎているのか。「不安ぐせ」タイプ診断【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

確認・能力・対人・環境…不安の根っこは4つに分けられる?【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

漠然とした不安に悩む人にこそ知ってほしい「ポリヴェーガル理論」とは?【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

不安ぐせを手放す第一歩!「神経基盤」に戻れるカラダとココロの整え方【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

アクセル、ブレーキ、“急ブレーキ”!? 自律神経は3つに分けられる【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

交感神経が暴走すると心も体も壊れる!? 不安やイライラを引き起こすしくみ【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

インフォテキストが入ります