「月曜の憂鬱は、声と呼吸でやわらげる」すぐできる不安やイライラを抑えるワーク【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

不安、イライラを抑えるための対症療法

今すぐ不安やイライラを抑えたいというときに効く、おすすめのワークを紹介。

いずれも、困ったときに対症療法として実践するとよいでしょう。

こちらで挙げているシチュエーションにかぎらず、広く使えるワークばかりなので、「緊張したらこれをやってみよう」「リラックスしたいときに試してみよう」というふうに、その時々の状況と得たい効果に応じて行ってみてください。


困ったときにすぐ効く簡単ワーク【日常のシーン】

会社・学校に行きたくない月曜日

月曜日の朝、もしくは日曜日の夜から「会社に行きたくないな」とゆううつな気分になる方は多いでしょう。このあとに控えている仕事や、ぎっしりと埋まったスケジュールを想像して、うんざりすることもあるかもしれません。

休み明けのどんよりした気分は、背側迷走神経の急ブレーキがやや強く働き、低覚醒のゾーンにいる状態を表しています。

こんなときは、腹側迷走神経を刺激するワークで、穏やかなブレーキを働かせましょう。しだいに気分が落ち着き、誰かとコミュニケーションをとることが苦でなくなります。

6つのワークを用意しているので、起きてすぐでも通勤・通学中でも、思いついたときに実践してみてください。


<Q>
お休み明けの朝は、いつも気分がふさいでしまいます。「あーまた1週間がはじまっちゃうな」とか「やらなきゃいけない仕事がたまってるー」とか「仕事であの人にまた会うのがゆううつだな」とか。

朝からキビキビと仕事をしている同僚を見ると、うらやましくなってしまいます。どうすれば気分を上げられますか?

<A>
「嫌だな」「行きたくないな」と感じて気分が重くなり、低覚醒の状態になってしまうのですね。それは自然なことですが、低覚醒状態のままで無理に仕事をすると、必要以上に疲れてしまいます。

家を出る前や通勤中に、発声や呼吸のワークを試してみてください。どんよりした気分が晴れていきますよ。

WORK1:歌をうたう

グレーのゾーン、つまり低覚醒の状態から抜け出すには、背側迷走神経の急ブレーキから腹側迷走神経の穏やかなブレーキに切り替えることが必要です。歌はのどや横隔膜を使うので、それらの場所を通っている腹側迷走神経の働きをよくするのにうってつけ。穏やかなブレーキが働き始め、気分がよくなっていきます。朝のしたくをしながら歌うのもよいでしょう。

WORK2:口呼吸

呼吸のしかたを少し工夫するだけでも、腹側迷走神経(穏やかなブレーキ)に働きかけることができます。息を吸うときは、鼻からでも口からでも、どちらからでもかまいません。

ポイントは息を吐くとき。息を下唇に当てるようにしながら、ゆっくりと長く吐いてください。この呼吸を繰り返すうちに、だんだんと快方に向かうのを感じられるでしょう。気分がふさいだときにぜひ試してみてください。

WORK3:太陽を飲みこむ

晴れた朝は、太陽のエネルギーを体内に取り入れるイメージで、大きく口を開けて「ゴクン」とのどを使って太陽を飲みこんでみましょう。飲みこむ動作は1〜2回でかまいません。

アーユルヴェーダでは太陽は生命の源とされており、実際に、太陽光にはビタミンDの生成を助けたり免疫力を高めたりする効果があります。そこに飲みこむ動きを加え、顔やのど、口の筋肉を使えば、腹側迷走神経を刺激できます。

WORK4:やっほい!

動き出すのがしんどい朝、「やっほい!」と口にしてみてください。のどには腹側迷走神経が通っているので、穏やかなブレーキが働いて気持ちが落ち着きます。

「つながりモード」を鍛える効果もあるので、自然と活力が湧いてきて、気分が変わっていくのを実感できます。人がまわりにいて、声に出すのが難しいときは、声を出している自分をイメージするだけでもかまいません。

WORK5:まわりを見る

腹側迷走神経(穏やかなブレーキ)を鍛えるには、人だけでなく、まわりの環境とつながっている感覚を意識することも大事です。自宅から駅までの道で、まわりを見渡してみましょう。

このとき、「そういえばあの仕事って……」などと考え始めると、負のループにはまってしまいます。深く考えず、街並みや木々などをただ見るだけでOKです。

WORK6:歩きながら高音でアップテンポの音楽を聴く

音楽は人を元気にするといわれていますよね。これは本当で、ノリのいい、できれば高音を含む音楽を聴きながら歩くと、自分の身体の動きと中耳への刺激によって、腹側迷走神経(穏やかなブレーキ)が働き始めます。どんよりした気分が消えて、心地よい活力が湧いてくることに気づくでしょう。J-POPでもロックでも、自分の好きな音楽を選んでください。

【出典】『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論』著:浅井 咲子

【書誌情報】
『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論』
著:浅井 咲子


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ポリヴェーガル理論は、ステファン・ポージェス博士によって提唱された自律神経系の神経理論です。
自律神経を、1つの交感神経と2つの副交感神経(背側迷走神経と腹側迷走神経)の3つで捉えます。

本書では「セオリー」「テクニック」「ワーク」に分けてわかりやすく紹介します。
本当は必要ではないのに過剰に防衛したり、考えても仕方がないことにイラっとしたり、不安になったり。
そうしたもったいない時間を減らして、「今ここ」にある幸せを感じ、安心できるようになるためのメソッドです。

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