寝台列車はなぜなくなっていった?今も乗れる?【眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話】

夜行列車については書籍刊行月2023年5月時点の情報を掲載しています。最新の情報とは違う場合があります。

夜行列車を使う利点が失われた

1970年代の半ばまで、寝台列車が人気だった時代がありました。寝台列車は夜行列車のうち、座席の代わりに寝台を設けた寝台車をメインにした列車のこと。当時は新幹線や飛行機の最終便に間に合わなくても、夜行列車を使えば目的地に朝早く到着できる区間が多数ありました。それも新幹線や飛行機の始発便より数時間も早い区間もあり、出張の多いサラリーマンには重宝されていました。

ところが現在は夜行列車自体が激減。貨物を除く定期夜行列車は、東京-出雲・高松を結ぶ「サンライズ出雲」と「サンライズ瀬戸」の2本だけになってしまいました。

寝台列車が消えつつある背景の1つは、交通手段の多様化です。新幹線の延伸の影響や深夜の人件費の問題もありますが、競合する航空機のジェット化や、低運賃の夜行バスの登場などで、アドバンテージが失われてしまったのです。1976(昭和51)年に国鉄が大幅な運賃値上げを行ったことも影響しました。

予定に間に合うなら前日の夜や当日の朝に新幹線や飛行機を使えばいい。宿泊費を浮かせたいなら運賃の安い夜行バスを使えばいい。最近はLCC(格安航空会社)という選択肢もあります。そうした時代の変化が、夜行列車、寝台列車の衰退を招いたのです。

寝ているうちに目的地に着くのが魅力

出張のときに、前夜遅めに家や勤務地を出て翌朝早くに目的地に着けるというのが寝台列車(夜行列車)の魅力でした。現在は、JR 東日本などが運行するクルーズトレインが登場し、寝台列車での移動そのものを楽しむスタイルに変化しています。

寝台列車が消えた理由

速さに加えて価格面や快適さなど、競合する交通機関の利便性が高まり、あえて寝台列車を選ぶ必然性が薄れたことが大きな理由です。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』著:綿貫 渉

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』
著:綿貫 渉

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さらに「電車が止まってしまったけど運転再開までどのくらいかかるのか……」「SNS動画で駅構内や車内のトラブルを見るけど、もし自分が居合わせたら…」このような日常で起こるかもしれないちょっとしたギモンや不安に関連した役立つ知識も紹介し、読んで面白いだけではない、日常に関わる内容となっています。

今まで知らなかった鉄道の世界を覗くことで、元々鉄道が好きな方はもちろん、そうでなかった方も、鉄道や交通に興味を持つきっかけとなる一冊です!

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