鳥はオスもミルクで子育てする!? 一部の鳥しか出せない特別なミルクとは【眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話】

ハトはオスもメスもミルクを出せる

一部の鳥しか出せない特別なミルク

雛は親鳥が運んでくる小さな虫を食べるのが一般的ですが、中にはミルクで育つ雛もいます。それはハトやフラミンゴ、ペンギンの仲間がつくる特別なミルクで、それぞれ「ビジョンミルク」「フラミンゴミルク」「ペンギンミルク」と呼ばれています。

特別なミルクは、鳥が持つ食道の一部の消化器官である「そのう」から分泌されます。これを吐き戻し、口移しで雛に与えるのです。ただ常に分泌されているわけではなく、雛の鳴き声を聞くことでスイッチが入って分泌されるようになるため、子育てのためだけに備わった機能だといえるでしょう。

ミルクは粘り気のある液体で、たんぱく質や脂肪、リン、カルシウムなどの栄養素が豊富に含まれていて栄養満点です。そのため、雛に必要な動物性たんぱく質も十分に与えることができるので、親鳥には虫を捕ってくる手間が省け利点もあるのです。ただし、親の体から分泌される栄養素を雛が育つまで与え続けるわけですから、身をしての重労働であることには間違いありません。

また、メスだけではなくオスの体からもミルクが出せるのは哺乳類との大きな違いです。コウテイペンギンにいたっては孵化して2カ月間はオスだけがミルクを与え続けるのです。

鳥が出すミルクのヒミツ

「そのう」からつくられる

鳥のミルクは食道の一部である消化器官「そのう」から分泌されるため「そのう乳」とも呼ばれている。

口移しで雛に与える

そのうでつくられたミルクは食道を通って口から吐き出され、雛に口移しで与えられる。


子育てを助けるスーパーミルク

十分なたんぱく質を含むビジョンミルクを、ペアで協力して与えることができるため一年中繁殖が可能。

孵化したてのフラミンゴの雛は白い姿だが、ミルクの赤い色素によってだんだんとピンク色に染まっていく。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』監修:小宮輝之

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』
監修:小宮輝之


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飼うこと、食べること、動物園・水族館・花鳥園などでの鑑賞、身近にいる野鳥など、寿命が長い上、インコやオウムなどは話したり、歌ったりとコミュニケーションもとれることから、日本には愛鳥家も多く鳥関連のイベントも定期的に開催されており、動物類のなかでもコアファンが多い生き物です。

鳥類は恐竜時代から大量絶滅を唯一生き延びた動物のため、歴史も古く、進化の過程で飛ぶ・飛ばないをはじめ、大きさや形、色、生息地域も異なり、外見も内面も個性豊か。
社交性も高い上、カラスやオウムなどは知能も高く、行動学の観点でも面白い特徴が多く見られます。

「約1万種類いる鳥類の半分はスズメの仲間」
「鳥の祖先は、結局恐竜なの?」
「鳥に歯はない。くちばしは骨?角質?」
「カラスは家族のためなら、友情は簡単に裏切る」
「スグロミツドリは“右半身がオスで左半身がメス”」
「カメは万年、ツルは千年 ツルの本当の寿命は30年」
「おしどり夫婦の由来であるオシドリは普通に浮気する」
「ダチョウは家族が入れ替わっても気付かない」
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