星はなぜまたたくのか? 大気のゆらぎがつくる光のマジックとは【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】


大気の乱れが星をまたたかせている
世界各国で愛唱されている『きらきら星』にあるように、星は常にキラキラと点滅(明滅)しているように見えます。ただし、これは星自身が光の強さを変えてまたたいているわけではありません。地球上から見たときにだけ起きる現象で、いわば大気のいたずらです。
光は何もなければどこまでも直進します。ところが密度の異なる物質を通るとき、その境界で曲がる性質があります。屈折です。星の光は地上に届くまでに大気の層を通り抜けますが、大気の密度は、温度・湿度・気圧の違いや風などで常に変化しています。
この大気の密度の違うところを光が通過するごとに光の屈折が起こり、星がまたたいて見えるというわけです。お湯が沸いているヤカンの上がゆらゆらと揺れて見えるのと似た現象です。
逆に大気が安定していると、ゆらぎが小さくなって星のまたたきは弱くなります。地表付近に高湿度の重い空気が、上空に低湿度の軽い空気があると大気は安定します。そのため天文台を設置するときには、空気の乾燥した山の上などにつくられることが多いのです。
金星などの惑星がまたたかないのは、地球に比較的近いため。恒星の光が「点」として届くのに対して、惑星の光は近い距離から「面」で届き、光の屈折の影響を受けにくいからです。
星がキラキラまたたくメカニズム
大気が不安定な状態では、星の光が密度の異なる境界を通過するごとに屈折する。結果として目に入る星の光がブレるため、星がキラキラ点滅しているように見える。

大気が安定しているとゆらぎは小さくなるので、またたきも弱くなる。たとえば風の強い日は大気のゆらぎが大きくなるので早くまたたき、無風だとゆっくりまたたく。
天体観測に向いている場所
天文台が山の上に設置されるのは、街の明かりの影響を受けにくいこともあるが、大気が安定しているという理由も大きい。

ハッブル宇宙望遠鏡は地上600km 上空の周回軌道を回っている。
そのため大気の影響を受けず、高精度の天体画像の撮影が可能。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』監修:渡部 潤一
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』
監修:渡部 潤一
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