カラスのカップルは超ラブラブ！ 羽繕いが止まらないワケ【眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話】

オシドリ夫婦よりカラス夫婦です

カラスのペアは仲良しです。

ハシブトガラス、ハシボソガラスとも、縄張りを持つより先に、集団の中でペアを作ってしまいます。このペアがそのまま続くのか、何度も相手を変えるのかはわかっていません。いずれにせよ、ペアで適当な場所を見つけて縄張りを確保します。

カラスは求愛するとき、しばしばオスからメスにエサを口移しで与えています（ときにメスがオスにお返ししていることもあります）。もっとも「ねえ、これあげる」「いらない（プイッ）」というやり取りも見たことはありますが、オスはめげずに何度も「ねえねえ」と迫り、とうとうエサを受け渡すのに成功していました。

また、相互羽繕いもしばしば見られます。鳥は全身の羽毛をクチバシで整えることができますが、首から上はクチバシが届きません。そこで足でかくのですが、ペアの相手がいる場合、「頭かいて」と差し出して、羽繕いしてもらいます。そのお返しに、相手の羽繕いもしています。さらにそのお返しに…と何分もやっていることもあります。

なお、ミナミワタリガラスでは離婚が見つからなかったという研究もありますが、押しかけ愛人がいたとか、離婚じゃないの？という観察もあります。まあ、カラスもいろいろあるってことです。

ちなみにオシドリは子育てをメスだけで行うので、「本当はオシドリ夫婦じゃない」と言われていましたが、翌年またペアになることもあるので、完全に行きずりの関係というわけでもありません。

カラスのペアがよく取る行動

【羽繕い】

相手の頭から首のあたりを羽繕いしてあげることがあります。されたほうもお返しに羽繕いしていることがよくあります。

【エサの口移し】

エサを「はい、あげる」と渡していることがあります。オスからメスが多いようですが、一つのエサを渡し合っているのも見ました。

【求愛】

春の繁殖前の時期に、オスが「カコッカコッ」と鳴きながら左右にステップを踏んで踊っていることがあります。

鳥の夫婦のカタチいろいろ

鳥は一夫一妻が70%を超えますが、一夫多妻や多夫一妻もあります。1シーズンにオスもメスも相手を変えて複数回繁殖する場合は、実質的には多夫多妻と言ってもいいかもしれません。子育ての手間や環境の安定性によって繁殖システムはさまざまです。

【多夫一妻制】

・レンカクタマシギ　など

タマシギは求愛から産卵までを一夫一妻で過ごし、それが終わるとオスが子育てをしてメスは他のオスのところにいきます。オスも子育てが終わると他のメスとつがいになります。

【一夫多妻制】

・ウグイス
・オオヨシキリキジ　など

【一夫一妻制】

・スズメ
・カラス
・ツバメ
・ムクドリ　など

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』著：松原 始