実は無地だった!? カツオの“縦じま模様”は死後の姿だった【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】


カツオの真の姿を私たちは知らない
グルグルと大きな群れで太平洋沿岸を回遊するカツオ。遊泳速度は時速30~40㎞で、泳ぎをやめると呼吸ができなくなるため、ずっと泳ぎ続けています。そのため、カツオは筋肉が発達した赤い身で、たんぱく質が多く含まれているのです。
春になると北上をはじめ、夏の終わり頃から南下します。春にとれたカツオは「初鰹」、南下するカツオを「戻り鰹」と呼びます。カツオのたたきや鰹節など、食卓に頻繁に登場する魚ですが、詳しい生態はよく知られていません。
たとえば、カツオのしま模様。市場やスーパーに並ぶカツオの体には前後方向(縦)に紺色のスジが入っています。しかし、これは死後の姿。普段は無地で、釣り上げられた直後にも、まだ縦じまは入っていないのです。
反対に、カツオが小魚を襲うときには、体の側面に上下方向(横)にスジが現れます。図鑑や標本などのカツオは縦じまのもの(死後の姿)が多いため、横じまのカツオを見たことがある人はほとんどいないといえるでしょう。
さらに、カツオは1歳頃から産卵を開始し、1回あたり3万~ 140 万もの卵を産むといわれています。産卵時期以外はオスとメスを見分けることができず、おなかを開いて確認するしかありません。
おなかのしま模様には縦と横がある!
普段は無地のカツオだが、エサを追いかけるときなど、興奮すると横じまが現れる。

釣り上げられたのち、しばらくすると縦じまが体に現れる。これがカツオのよく知られる姿。
カツオは死ぬまで泳ぎ続ける
眠る際は低速で泳ぎながら睡眠をとっているといわれている。

カツオやマグロが止まると死んでしまう理由は、自らエラぶたを動かせないから。泳いでエラを動かし、中に酸素を取り込んでいる

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん
食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。
魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。
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