伊達政宗が築いた「仙台城守護」の要塞!桃山建築の粋を集めた豪華絢爛な国宝「大崎八幡宮」とは【眠れなくなるほど面白い 図解 国宝の話】

坂上田村麻呂以来の八幡宮を堅守する政宗!

安土桃山時代の建築様式で残る唯一の国宝 ── 大崎八幡宮

 「大崎八幡宮」(国宝)の所在は宮城県仙台市。国宝に指定されているのは、社殿内の本殿・石の間・拝殿である。ほかに長床一棟が重要文化財として登録されている。また、仙台周辺の「どんと祭」「裸祭り」などは広く親しまれている。

 大崎八幡宮は創建年代が古く、平安の昔まで遡る。坂上田村麻呂(758〜811年)が奥州征伐のおり、鎮守府唐沢城(現岩手県奥州市)に宇佐神宮を勧請したのがはじまり。その後の室町時代、奥州管領に着任した斯波氏(大崎氏)が本拠地の大崎(現宮城県大崎市)に遷宮したため、大崎八幡宮と呼ばれるようになったとか。

 現形は慶長9年( 1604年)、伊達政宗(1567〜1636年)が仙台城の北西、戌亥(北西)の方角を守る砦として大崎八幡宮を招いたことからとされる。城下町の北、北山丘陵と広瀬川が接する河岸段丘の西端で、山形方面に向かう作並街道を扼す位置だ。〝奥州王〟を自認する政宗としては、仙台城守備に外せない要衝となる大崎八幡宮の招来は必須だったのだ。

 八幡宮の造営にあたっては当世随一の巨匠で豊臣家お抱えであった梅村家次らの名工を動員。慶長12年(1607年)に竣功した社殿は、のちに日光東照宮も引き継いだ権現造で、豪華絢爛な装飾は安土桃山時代の建築技術の粋を集めた傑作といわれている。本殿と拝殿、石の間が一体となった構造に、漆塗り、彫刻、金具の1つひとつに至る装飾も観る者を圧倒せずにはおかない。

 社殿の保存修理、点検も定期的に実施されているため、慶長年間の創建以来の姿を静かに保ち続けている重要な歴史的建造物である。

奥州管領斯波氏(大崎氏)=奥州探題の役目を担う管領のこと。宮城県大崎の地に斯波氏が土着したため、通称名として大崎氏と呼ばれるようになった。


大崎八幡宮 本殿・石の間・拝殿

大崎八幡宮は、手前の拝殿と右奥屋根の本殿を石の間でつないだ、現存最古の権現造

大崎八幡宮 本殿・石の間・拝殿

昭和27年(1952年)に国宝指定/宮城県仙台市青葉区大崎八幡宮内

 「大崎八幡宮本殿・石の間・拝殿」は、外観の柱や壁、建具を黒漆塗で漆黒に仕上げ、化粧垂木には朱塗を施している。本殿、拝殿とも千鳥破風に唐破風が組み込まれた柿葺の入母屋屋根で現存最古の権現造。拝殿内部は狩野派絵師により唐獅子障壁画が描かれ、下部の大きい化粧梁には青龍が描画されている。

 石の間の格天井には53 種の草花のほか、伝左甚五郎の花鳥動植物やにらみ猫などが彫られ、金箔や金具の多用もある。桃山建築の粋を凝らした社殿は慶長12年(1607 年)に伊達政宗によって造営された現存最古の権現造で、寛永13年(1636年)創建の日光東照宮はこれに倣っている。本殿/桁行5間(約9m)・梁間3間(約5.45m)、石の間/ 東西方向5間(約9m)・南北方向2 間(約3.64m)、拝殿/桁行正面7間( 約12.73m)・背面5間( 約9m)・梁間3間(約5.45m)。


にゃん太:大崎八幡宮って、すごく由緒があるんだね。
わん爺:何せ平安の昔、坂上田村麻呂が征夷大将軍を拝命しての東征時に武門の守護神宇佐八幡宮をいまの岩手県水沢市に勧請したときにはじまるそうだから古い。その後、奥州管領の斯波氏( 大崎氏)が社殿を自領に移したことで大崎八幡宮となるんだが、豊臣秀吉によって大崎氏が改易された。そこで伊達政宗が当代の名工たちを招いて、これまで伊達氏が祀ってきた成島八幡神社と一緒に遷座して現在地に創建した。何がすごいかというと、桃山建築の粋を集めた豪壮華麗な社殿ということだな。それに現存最古の権現造というからのう。


【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 国宝の話』著:鈴木 旭

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 国宝の話』
著:鈴木 旭


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国宝は「重要文化財のうち世界文化の見地からも価値の高いもの、類いない国民の宝」と定義され、現在1144件(2025年)が認定されている。
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