ネコにはマタタビ、クマにはペンキ!? クマを吸い寄せてしまう化学成分とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】


ネコにはマタタビ、クマにはペンキ!?
クマの嗅覚は人間の数千倍
ネコがマタタビにうっとりするように、クマにも思わず反応してしまう気持ちのいいにおいがあります。なんとそのにおいは、ペンキや香水、車のワックスといった人工的なものなのです。
実際に野外では、ペンキが塗られた看板や道具に、ヒグマやツキノワグマが体をスリスリとこすりつけたり、かじったりする姿が目撃されています。これは製品に含まれる揮発性の「エステル類」という化学成分が、クマにとって強く刺激的なにおい信号として働いているためではないかと考えられています。
クマの嗅覚は人間の数千倍以上で、イヌ以上ともいわれるほど優れており、視覚・聴覚情報よりも、においが生活していくうえでの重要なカギとなります。たとえば動物の死骸や果物、腐った魚のにおいを嗅ぎ取って何百メートルも移動したり、好物を地面に埋めたりするなど、においに対するさまざまな反応が観察されているのです。
ちなみに、埋めるのはあとで食べるため。落ち葉や土をかぶせて10cm前後の深さに隠すことが多く、動物の死骸やにおいの強い魚、熟した果実などが対象といわれています。
また、においの方向を見極めるときには、鼻を高く上げて風上を向き、においのもとに向かって直線的に移動していきます。
クマが好きなにおいとは

● ネコ:マタタビに反応
● クマ:ペンキ缶、香水、ワックス、日焼け止め、車
クマが反応するにおいの正体は人工的な化学成分「エステル類」。ペンキが塗られた看板や香水、車のワックスといったものが特に強くクマの嗅覚を刺激するといわれています。
クマの“におい行動”図鑑

● スリスリ:体をこすりつける、かじる
● 埋める:深さ10cmほどの地中に隠す
● 舐める:味を確かめる
● 引き寄せ行動:鼻を高く上げて近づく
食べ物や刺激されるにおいを求めて数十〜数百m移動したり、気に入った食べ物をあとで食べるために地面に埋めて自分のにおいを目印に残したり、においはクマにとっての万能センサーといえるでしょう。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
監修:山﨑晃司
世界中数多くの動物園で飼育され、アニメや漫画、ファンシーキャラクターのモチーフとしても起用されることの多い人気の動物「クマ」。
最近では日本全国で目撃が相次いで発生したり、温暖化の影響で冬眠をしないクマも確認されたりすることから、話題に事欠かない今大注目の動物です。
しかし、ペットとして飼うことは難しく、ときに人を襲う恐ろしい側面も持ち合わせるクマ。
それなのになぜ人間にとって馴染み深く身近な存在に感じるのでしょうか。
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愛玩動物、猛獣、食用、ワーキングアニマルなど、さまざまな角度からクマの生態と特徴を解説し、クマの知られざる魅力に迫ります。
これを読めばクマのことがもっと好きになること間違いなしの一冊です。
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