「理想の米」は地道な努力から生まれる! 米の品種改良の遠い道のりとは【眠れなくなるほど面白い 図解 米の話】


新しい品種ってどうやってつくる? 品種改良のしくみ
理想の米は地道な努力から
全国各地でつくられている新しい品種の米。コシヒカリの子孫、特定の地域のブランド米、あるいは気候変動に対応した新品種など、私たちの食卓にはさまざまな米が登場しています。では、こうした品種はどのようにして生まれているのでしょうか。
品種改良の出発点は、異なる性質を持った稲の交配です。たとえば、味がよい品種と病気に強い品種をかけ合わせ、その両方の長所を受け継いだ「理想の米」を目指します。交配後の種子をまいて育てると、翌年にはバラバラな性質の稲が育つため、そこから望ましい性質を持つものだけを選び出す「選抜」がはじまります。
しかし、すべての苗が思い通りに育つわけではありません。数千、数万の苗のなかから、ほんのわずかな成功例を見つけ出す必要があります。何年にもわたって繰り返される地道な作業は、研究者や技術者たちの目と経験に支えられています。
さらに、収穫量、食味(味や香り)、倒れにくさ、病害虫への強さなど、多くの評価項目をクリアしなければなりません。おいしいだけでは不十分で、育てやすさや安定した品質も欠かせない条件です。こうした厳しい試験を乗り越えてはじめて、新品種として登録され、市場に登場するのです。
新品種ができるまで

実際に「ゆめぴりか」「いちほまれ」などの代表品種も、10年前後の開発期間を経て生まれました。非常に時間のかかる作業なのです。性質を安定させるため、選抜をくり返します。
どんな米が求められているの?

品種改良によって「理想の新品種」を生み出すためには、異なる特徴を持つ稲を組み合わせます。味がよい品種と病気に強い品種を交配し、両方のよいところを受け継いだ理想的な米を育てることを目指すのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 米の話』著:トキオ・ナレッジ
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 米の話』
著:トキオ・ナレッジ
スーパーなどでの米不足、転売、価格高騰などで、ニュースやワイドショーでここ最近毎日のように取り上げられる今いちばんのホットトピック「米」。
備蓄米の放出により、古米がスーパーやコンビニで置かれるようになりましたが、味や品質、衛生面、値段、美味しく食べる方法など、普段何気なく食べていた米について興味をもって調べる人が増えてきました。
また、近年糖質制限という逆風もある一方で、健康志向や和食ブームの高まりにより「米」の再評価も進んでいます。
本書は、私たちの食卓に欠かせない「お米」にまつわる知識・文化・歴史・雑学などを、図解を交えてわかりやすく、楽しく紹介する教養本です。
「“令和の米騒動”はひとつの原因では語れない」
「年々減少する米の消費量 それでも起こる米不足」
「備蓄米ってなに? 米に消費期限はないの?」
「外国米が日本市場になかなか入れない理由」
「炊飯器に放置された保温状態の米の消費期限は?」
「白米より栄養価アップ!今人気の分づき米とは」などなど
読めば誰かに話したくなる米知識が詰まった一冊です。
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