船は急には止まれない! 車と違う操船の難しさとは?【眠れなくなるほど面白い 図解 船の話】

車とは異なる船の動き方の特性は?

水に浮かぶ乗り物ならではの特性

船の動き方というのは、車とは大きく異なっています。その違いを生んでいるのが、船は地面に接しておらず、水に浮かんだ状態で移動する乗り物だという点です。車は回転するタイヤで地面をつかむ大きな摩擦力を使って、加速や減速を行いますが、船は周りの水を後方に押し出すことで動きます。

まず、大型の船の場合は動き出しに時間がかかります。エンジンの力を伝えても、質量が大きいために、すぐには速度が上がりません。一方、一旦動き出すと強い慣性を持って動き続けます。大型の船の加速や減速には、常に時間がかかるのが特徴です。

この慣性は、操船の考え方にも大きく影響します。車のように、操作に対して即座には反応しないため、「少し先の状態」を想定して操作する必要があります。進む、止まるといった動作が遅れて現れることを考慮し、先を見越した判断が求められるのです。

また、水上を移動する船は速度によっても動きの性質が変わります。船の操縦では、こうした船の特性を理解したうえで動きを予測することが重要です。

このように、大型の船の動きは「水に浮かぶこと」と「大きな慣性」を前提に成り立っているといえます。

車と船の動き方の違い

車の場合

  • タイヤが地面に接している
  • 操作してから加速・停止するまでが早め
  • 摩擦で力を直接伝える

船の場合

  • 水に浮かんで、周りは液体
  • 周りの水を後方に流して進む
  • 大きな慣性が働き、なかなか止まらない

車は地面との摩擦で素早く動けますが、大型の船は周りの水を後方に流して進むため、動き出しに時間がかかります。一方で、一旦動くと大きな慣性で止まりにくく、ブレーキがないのが特徴です。

操船には先読みが欠かせない

船の動きの特徴

ブレーキがなく、すぐには止まれない。停止するためにはプロペラを逆回転させる

船体が大きいほど、回転するときに大きな弧を描く

船は大きな慣性を持つため、操作の結果はすぐには現れません。少し先の動きを予測しながら操船することが、安全な運航には欠かせないのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』監修:池田良穂

【監修者情報】
池田良穂(いけだ・よしほ)
1950年北海道生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科博士後期課程船舶工学専攻修了。同大学工学部船舶工学
科助手、助教授を経て、同大学大学院海洋システム工学分野教授に就任。退職後、現在は大阪府立大学名誉教授、大阪公立大学客員教授。
船舶工学研究活動に従事し、著作活動では船舶工学・海洋工学等に関するテーマで70冊あまり執筆。主な著書に『図解 船の科学』(講談社)、『基礎から学ぶ海運と港湾』(海文堂出版)、『船の最新知識』(SBクリエイティブ)、『船舶算法と復原性』(共著、成山堂書店)、『船のしくみ パーフェクト事典』(ナツメ社)などがある。2023年日本船舶海洋工学会「船舶海洋技術賞」受賞。雑誌、新聞等への寄稿も多く、日本における船舶の理解と認知度の向上に貢献したとして、2025年に国土交通大臣から「交通文化賞」を受賞。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』
監修:池田良穂


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