外気温度がマイナス70度になることも! 飛行中でも燃料が凍らない理由とは【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


エンジンまでの道のりを探る
燃料はどのようにして燃焼室までたどり着くのか
翼の付け根の部分を強度にするには、燃料ができるだけ重石の役割をするように、胴体に近いタンク内の燃料から使用するのがベストです。そのため、どのタンクからもすべてのエンジンに燃料を送ることができなければなりません。
それを可能にする装置が、 ブーストポンプと呼ばれる燃料タンク内に設置されたポンプと、汲み上げた燃料を送るクロスフィード・ラインと呼ばれるパイプラインです。ポンプのオン・オフと各パイプラインのバルブの開閉により、どのタンクからでもすべてのエンジンに燃料を送ることができます。
タンクから送り出された燃料は、そのままエンジンに入るわけではありません。 飛行機は高度も緯度も高い所を飛ぶので、外気温度がマイナス70℃にもなることもあります。そのような空域を長時間飛んでいると、外気に影響を受けて翼内の燃料の温度が下がってきます。その燃料に微量でも水分が含まれていたら、その水分が凍ったり、燃料温度がマイナス40℃前後になれば燃料の粘性などが変化してしまいます。
どちらにしても、燃料制御装置や燃料噴射ノズルが目詰まりを起こしてしまい、エンジンが正常に作動しなくなります。また停止してしまう恐れもあります。そのため、熱くなっているエンジン・オイルと熱交換(燃料は暖められオイルは冷やされ一挙両得)した後、濾過するフィルターを通過して燃料制御装置に入るようになっています。
燃料制御装置内では、スラスト・レバー位置や飛行速度、気温などの信号を受け油圧式機械装置(H M U) により、最終的に燃料流量が決定され、燃焼室に送られます。
燃料タンクからエンジンまで
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。