空でも迷わない!飛行機の「水平感覚」はジャイロスコープが支える【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】


飛行機の姿勢を知るには都合のよい性質
ジャイロを利用した姿勢指示器
振り子で地球の自転を証明したフランスの物理学者フーコーは、高速で回転するコマを利用した装置でも地球の自転を証明しようとし、それをジャイロスコープと名づけました。
ジャイロは回転、スコープは見る、つまり地球の回転を見る機械というわけです。単にジャイロと呼ぶことも多いですが、ジャイロは高速回転している限り倒れないだけではなく、その回転軸は宇宙の一点を指し続けるという壮大な性質を持っています。
余談ですが、地球もジャイロとして考えると、地球の回転軸が指し続けている宇宙の一点は、「北極星」です。そのため大海原を航海する船上から見える北極星は、ほとんど動かない固定点となり、自分の位置を知ることができる希望の星となっています。そして、このように天体を観測して位置を推測する方法を天測航法と呼んでいます。
ジャイロを垂直に立てた場合、飛行機の姿勢を知るには都合のよい性質を持っています。このようなジャイロをVG(バーティカル・ジャイロ)といいますが、ここで問題があります。
飛行機が動いた場合には、ジャイロの軸は相変わらず宇宙の一点を見つめているので、機内から見るとジャイロが勝手に動いたように感じてしまうのです。そしてたとえ飛行機が動かなくても、フーコーが証明したように、機内では地球の自転によりジャイロ軸が勝手に動いたように見えるわけです。
これらの問題を解決して、VGの軸をいつも地球の中心に向かうように工夫し飛行機がどのように動いても地球の水平線といつも同じになるように指示する計器が、姿勢指示器です。
宇宙的動きを地球に限定して利用

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治
「飛行機はなぜ、どうやって空を飛べるのか」という基本から、最新の知識、身近な航空雑学まで、飛行機の魅力をたっぷり図解でわかりやすく教える一冊。