エンジンには、なぜ計器が必要なのか【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

エンジンには、なぜ計器が必要なのか

異常を事前に予測し、異常事態に適切に対処できる

ジェット・エンジンの代表的な計器には、排気ガス温度計(EGT)、回転計、燃料流量計、エンジン圧力比(EPR)などがあります。 これらの計器がなぜ必要なのか、まず自動車のエンジン温度計を例にして考えてみましょう。

エンジン温度計を装備していない自動車もありますが、エンジンの温度が上昇し過ぎると、赤いランプが点灯し、警告を発する装置が装備されています。エンジンのオーバーヒートは、人の五感では見つけることができないからです。

温度計が上昇したり、赤いランプが点灯した場合、木陰でエンジンを休ませたり、ラジエーターの水を点検したりできます。つまり、計器のおかげで、エンジンの不具合の状態がわかり、適切な対処ができます。そのまま走行していたら、エンジンが長持ちしなくなるのはもちろん、壊れてしまう可能性もあります。

飛行機の場合は、自動車以上にいつでも、エンジンの調子を計器で確認できるようにする必要があります。

例えば、エンジンスタート中は、排気ガス温度を注視しています。もし制限値を超えそうになったら、ただちにスタートを中止しなければならないからです。もちろんエンジンスタートに限らず、パイロットはエンジン計器を見ながら、エンジンのアクセルであるスラスト・レバーを操作します。

計器が必要なのは、エンジンを監視することにより、異常を事前に予測したり、異常が起こってしまってもその原因を知り、適切な対処ができるようにするためです。そして制限された範囲内で運転することによって、エンジンを長持ちさせることができる理由もあります。

なぜエンジンに計器が必要なのか

<ボーイング 747-200(4エンジン搭載)>

上から/N1:ファン回転計 EGT:排気ガス温度計 N2:高圧圧縮機回転計 FF:燃料流量計

<ボーイング 777(2エンジン搭載)>

上から/N1:ファン回転計 EGT:排気ガス温度計
上から/N2:高圧圧縮機回転計 FF:燃料流量計 エンジンオイル油圧計 エンジンオイル温度計
エンジンオイル量計 エンジン振動計

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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